Evil Dolce

* AriaLien Sub BLOG *

◆Evil Dolceは樹野花葉(キノハナハ)の過去の作品を更新しているブログです。
◆不思議要素のある恋愛物語をメインに綴っています。
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深淵の彼方から

深淵の彼方から 6話



陽が暮れ、私は御池様の元を離れ祖父の家に戻った。

「こらっ瑞生、何処に行っていたの!」

母に開口一番怒られた。

「ごめんなさい、御池様の処に行っていて…」
「…」

私が御池様の名前を出すと母は黙ってしまった。

なんともいえない表情を浮かべ母はジッと私を見つめた。

ほんの数秒辺りに静寂が訪れた。

其れを破ったのは伯父さんだった。

「瑞生、車に乗れ。帰るぞ」
「…伯父さん」

伯父の言葉を皮切りに母も父も動き出した。

祖父のお墓参りに来た時は大抵伯父さんの家に泊まっていた。

「瑞生ちゃん、僕の車に乗って」
「…辰朗さん」

伯父の車には母と父が、そして辰朗さんの車に私は乗せてもらう事になった。

緩やかに発車した辰朗さんの車の車窓から流れる景色を見つめていた。

「…御池様って」
「え」

ぼんやりとしていた私に辰朗さんの声が届いた。

車窓から運転席の辰朗さんに視線を移すと、まっすぐ前を見ながら辰朗さんは口を開いた。

「御池様って、本当にいるの?」
「…」
「其の…森の中にある池っていうのも…」
「あるよ」
「…」
「…」

私と辰朗さんの間に沈黙が漂った。


四年前、御池様に出逢った私は両親に御池様の事を話した。

最初はひとりで森に入った事を怒っていた母が私の話を訊く度に其の表情を曇らせていった。

野宮家には古くから伝わる伝承があって、其れをまとめた本の中に書かれていた事が御池様が私に話した内容とほぼ酷似したものだった。

野宮家に産まれた霊力の高い女児は森の中に祀られている龍神様の巫女として仕える事が掟だとか、森の中にある池の水を呑むと蛟になってしまうとか…

そして其の伝承の本の割と新しいページに書き加えられていた一文が母の表情を暗くさせた。

【蛟の杜にて池を見出し其の水を呑んだ者は池の主の花嫁となる】

母にとって其れはお伽話でしかなかった。

だって母は勿論、亡くなった祖母も其の姉妹たち近しい野宮の血筋の女性たちは揃って丘の上に広がる森の中で池を見つけた事などなかったのだから。

私だけに見える池。

其れは池の主に選ばれた花嫁にしか見えないし呑めない水だという事だった。

私から御池様の話を訊いた母は驚愕した。

だけど野宮の家に生まれたからには其の伝承に逆らう事は出来なかった。

近代文明が発達した現代においても其れは何故か絶対の威力を持って存在していたのだった。

だから両親を始め、野宮の親戚一同はいずれ私が御池様の元に嫁ぐ事をありうる話として黙認している処があった。

年に一、二度、祖父のお墓参りに行くのも私が御池様の元に寄る事を想定して折り込まれていた。

そして祖父の家を手入れをしながら存続させているのも、いずれ私が御池様の子を産み、育てるための場所として残しているという事だった。


「瑞生ちゃんは其れでいいの?」
「え」
「本当に…そんな本当か嘘か解らない伝承信じて周りから一生を決められて、縛られていいの?」
「…」

辰朗さんは私に逢う度にそう何度も問い掛けて来る。

其れは私の事を心配してという気持ちからの事だと解っているからありがたいなと思うけれど…

「僕は」
「いいの、ありがとう辰朗さん」
「…」
「いつも云っているけどね、私、最初の頃より御池様の事、怖いとか思わなくなっているの」
「…」
「御池様ってね、相当歳取っているいるはずなのに見かけすっごく若いの。二十歳ぐらいで御池様になったから其の時のまま変わらないんだって事らしいんだけど…」
「格好いいの?」
「カッコいいよ」
「瑞生ちゃんって見かけで騙されちゃうんだ。中身はとんでもない老人で半分神様だとかなんとかってそんな訳の解らないモノなのに…本当にこの世に存在しているかどうか怪し──」
「辰朗さん!」
「!」

私は大きな声で辰朗さんの名前を呼んだ。

辰朗さんは酷く驚いて急ブレーキをかけた。

金切り声を上げ車は停車した。

「み、瑞生ちゃん、何──」
「辰朗さんが心にもない事を云おうとしたから」
「…」
「辰朗さん、本当はそんな事思っていない。本当はちゃんと御池様の事、信じている」
「!」
「ただ…心配してくれているんだよね?私の事を…」
「…」
「辰朗さん、優しいから。私が伝承に縛られているんじゃないかってひとり反発してくれているんだよね」
「…瑞生ちゃん」
「でもね、安心して?私、ちゃんと自分で考えている、御池様の事。多分…だけど私、もう御池様の事…好きになっている」
「!」
「誰に強制された訳でもなく、ちゃんと自分で想っているの──御池様と添い遂げたいって」
「…」
「だから心配しないで?私は私の心のままこれから進んで行くから」
「……は、ははっ…参ったな、全く」
「辰朗さん?」
「やっぱり選ばれた女の子は違うね。僕よりもうんと年下なのにしっかりしている」
「…」
「──もう何も云わないよ。瑞生ちゃんがそう決めているなら。僕は野宮の者として瑞生ちゃんを支えて行くだけだ」
「…辰朗さん」


其の時初めて口に出した『好き』という言葉。

これが私が御池様の事を真剣に想っている事をきちんと自覚した瞬間だったのかも知れない。


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深淵の彼方から 7話




そしてゆるゆると時は過ぎて行った──


「瑞生、忘れ物はない?」
「うん、大丈夫」
「何時からの電車だって」
「えっとね…9時半、かな」
「乗り換えがあるから忘れずに。居眠りして乗り過ごさない様に」
「もう、大丈夫だよお父さん。私、子どもじゃないよ」
「子どもよ!」
「!」

急に母にギュッと抱きしめられた。

「親にとって子どもは…瑞生はいくつになろうとわたしの子どもよっ」
「…お母さん」
「そ、そうだぞ!お父さんにとっても瑞生は…ずっと可愛い子どもだ!」
「お父さん…」

自宅の玄関先で湿っぽい雰囲気になってしまった。

両親に抱きしめられ危うく涙腺が崩壊しそうになった。

だけど

「もうそんなに哀しまないで?ずっと逢えない訳じゃないし、進学や就職で上京する子どもと一緒で…たまには帰って来るしお母さんたちだっていつでも来られるんだから」
「…えぇ、えぇそうよね」
「休みの度に逢いに行くからな」
「ふふっ、無理しなくていいよ。私、全然寂しくないから」
「お、お父さんが寂しいんだっ!」
「あ…そ、そっか。ごめん」

ほんの少し笑いムードになって場の雰囲気は柔らかなものになった。

「瑞生、もし辛かったり怖かったり…ひとりじゃどうしようにもなくなったら直ぐに伯父さんを頼るのよ?」
「うん、解ってる」
「連絡してくれればわたしもお父さんも直ぐに駆けつけるから」
「ありがとう」

玄関で随分長い時間をかけてしまった。

昨夜だって散々話し合って、一時の別れの挨拶も済ませたというのに。

「じゃあもう行くね。いつまでもタクシー待たせておけないから」
「瑞生」
「瑞生」

「…行って来ます」

最後に両親から名前を呼ばれ、其れを受けて私はにこやかな笑顔を残して18年間過ごした住み慣れた家を後にした──



私はこの春高校を卒業した。

とても有意義な学校生活を送り、愉しい青春時代を送れたと思う。

──ただ

恋愛に関する事でいえば少し寂しい想い出しかないのかも知れないけれど…

(でも…やっぱり後悔なんてない)

長い休みの度に私は御池様の住まう蛟の杜へ行き、親交を重ねて来た。

ただ話をして、優しく触れられ、やんわりと抱きしめられるだけで充分幸せだった。

だけど年齢を重ねる毎に私は自分の体の変化に気が付いて行った。

其れは内から湧き出る様に御池様を求める気持ち。

貪欲に御池様に愛されたいという身体的欲望に身を焦がす事が多くなった。

(欲しい…御池様の全てが…)

厭らしくも静かな欲望が私を少しだけ大人の女性にしたのかも知れないと思った。

そして自然と解った。

今が御池様の花嫁になる時なのだ、と。

其の旨を両親に話すと反対されなかった。

両親もまた私と同様この日が来る事を覚悟し受け入れていたからなのかも知れない。

特に母は野宮の血筋の者。

理屈で考えるよりも脈々と受け継がれて来た見えない古(イニシエ)の理を受け入れる方が心身共に楽だったのだろう。

若干の心配を覗かせながらも快く私を御池様の元に送り出してくれたのだった。



プルルルルル


『まもなく2番ホームに電車が参ります。白線の内側まで──』


この日私は初めてひとりで御池様の元へ向かう。

自宅からタクシーで駅まで来て、目的の電車に乗って新幹線に乗り換えする。

ざっと8時間ほどの道のりだ。

(あぁ…早く逢いたい)

軽快に走り出した電車の車窓から流れて行く景色を眺めながら、気持ちは既に御池様の元に飛んでいた私だった。

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深淵の彼方から 8話



「瑞生ちゃん」
「あっ」

長い時間をかけやっと目的の町に着いた時には薄暗くなっていた。

駅から出ると其処には辰朗さんが待っていた。

「久しぶりだね。長旅お疲れ様」
「はぁ~公共機関使って来ると車の時とは違う疲労感があるね」
「そうだね、あ、荷物持つよ」
「ありがとう、辰朗さん」

私を迎えに来てくれていた辰朗さんは以前にもまして落ち着いた雰囲気になっていた。


駅から私が住む事になる且つての祖父の家まで車で30分程。

其の道中、辰朗さんと色んな話をした。

「美和さん、元気ですか?」
「あぁ、元気だよ。もうじき臨月だというのに相変わらず畑仕事に夢中で」
「妊娠中も動いていた方がいいとは訊くけれど、大きなお腹を抱えてじゃ大変そう」
「だよね、見ているこっちがハラハラするんだけど」
「ふふっ、ハラハラする辰朗さんが容易に想像出来るなぁ」
「ははっ」

辰朗さんは大学卒業後町役場に就職して、其処で知り合った同い年の美和さんと一年前に結婚した。

美和さんは自給自足の生活に憧れこの町に引っ越して来て、其の手続きやなんやらで役場に頻繁に訪れた事で辰朗さんと親しくなった。

そしてもうじき辰朗さんはお父さんになる。

「瑞生ちゃん、真っ直ぐ本家に向かっていいの?何か買物するなら店に寄るけど」
「あ…食事の用意とかあるから食材買わなきゃいけないかな」
「大抵の物は冷蔵庫に用意してあるよ。昼間美和が買物して補充していたから」
「そうなんだ、ありがたいなぁ…お礼云わなくっちゃ」
「気にしなくていいよ。好きでやっているんだから。本当は今日も一緒に迎えに行きたいって云っていたんだけど昼間動き過ぎてちょっと辛そうだったから無理矢理置いて来たんだ」
「えっ、大丈夫なの?」
「大丈夫。多少辛そうじゃないと休まないからね」
「私、明日にでも美和さんに逢いに行くね」
「あまり無理しなくていいよ──瑞生ちゃんだって本家に着いたらどうなるか解らないし」
「…」

愉しかった会話のトーンがほんの少し落ちた。

(そっか…着いたらどうなるんだろう)

私の気持ちの中では今回の帰省は御池様への嫁入りのつもりのものだった。

一般的な結婚式とか入籍とかそういった常識的な嫁入りではないと思いつつも、どのように御池様に迎えられるのかを知る者は今は誰もいなかったのだ。

「本当は一緒についていてあげたいんだけど」
「其の気持ちだけで充分だよ、辰朗さん。きっと…大丈夫だから」
「…」

全く不安がない──といったら嘘になるけれど、其れでも私は御池様と一緒にいられる悦びの方が勝っていたのだった。


やがて車は元祖父の家──野宮の本家に着いた。

辰朗さんにお礼を云って其のまま辰朗さんは車から降りる事無く走り去って行った。

「…さてと」

真っ暗闇の中、ぼんやりと門灯が点いている処を抜け玄関に立ち、預かっていた鍵で家の中に入った。

電気を点けるとパッと明るくなった。

「わぁ」

目に飛び込んで来たのは以前来た時とは全く雰囲気の違った洒落た内装だった。

和式の畳敷きで何処からどう見ても和室って感じだった部屋はフローリングになっていてソファが置かれていた。

其れは其のまま自宅にいた時の延長線上の様な設えで思わずホッとしてしまった。

「凄い…綺麗」

其れを見ただけで如何に野宮の人が私に対して心地よく此処で過ごして欲しいと思っているのかが解って少しだけ涙腺が緩んでしまった。

「…うん、大丈夫。私、やっていける」

何故か改めて身が引き締まる思いがしてちいさくガッツポーズを取ったりしたのだった。


美和さんが補充してくれていた食料で夕ご飯を作り食べた。

そしてお風呂に入って身を清めた。

どの様にして待っていればいいのか解らなかったのでとりあえず家に居る時と同じ様な行動をして、寝室のベッドに潜り込んだのは22時を少し過ぎた頃だった。

(…このまま寝ちゃっていいのかな)

御池様は私が此処に来た事に気が付いているのかな──?

なんて考えていると急に体の内側がドクンと熱くなった。

「っ!」

心臓がドクンドクンと脈打ち始め、何か見えない糸の様なものでぐいぐい引っ張られる様な気がした。

(もしかして御池様が呼んでいる…?)

いつもより強烈に感じる其の呼びかけに私はベッドから起き上がったのだった。

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深淵の彼方から 9話



呼ばれている──そう感じた私の脚は自然と引かれるまま夜の森を抜け見慣れた風景に其の身を置いていた。


「…ぁ」
「──ミズキ」

薄ぼんやりと明るい池の畔の岩に御池様が座っていた。

其れはいつもの、見慣れた光景だった。

「…御池、様」
「よう来たな──我が妻」
「!」

『我が妻』という言葉にドキッとした。

「俺は此処から離れる事が出来ぬ故、花嫁を迎えに行くという花婿らしい事が出来なくてすまぬな」
「そんな…普通の結婚式でも花嫁は花婿の元に歩いて行くんです、だから」
「そうか──ミズキ」
「っ」

不意に上げられた御池様の腕が私の体をかき抱いた。

「ようやく…俺のものになるのだな」
「……はぃ」
「俺を好いてくれているのだな」
「~~は、はいっ」
「ふふっ、赤くなっているな。愛い奴」

いつもと同じように御池様は私の体をやわやわと触れ始めた。

「あっ」

気が付くと私が身に付けていた寝間着は肌蹴させられ、御池様の中で生まれたままの姿になっていた。

「ん…綺麗だな、ミズキの体は」
「はっ…はぅっ…!恥ずかしい、ですっ」
「何を恥ずかしがる──そんな事を考える余裕もない位に愛してやるぞ」
「!」

急に感じた浮遊感。

其の少しだけ不快な感覚に思わず目を瞑った。

「──ミズキ」

優しく声を掛けられ、同時に唇に柔らかな感触を感じた。

慌てて目を開けると、其処には一面淡い青色の世界が広がっていた。

「えっ、こ、此処は…」
「池の中だ」
「! い、池の…?!って事は水の中?!」

御池様が池の中だと云った其処は普通に呼吸が出来る空間だった。

(水の中なのに?!どうして…)

「俺の妻になるという事はこういう事なのだ」
「…」
「俺と共にいられる様に、俺の子を孕む様にと体が少しずつ作り換えられていったのだ」
「…そう…なんですね」

常識的にはありえない、ううん、どうしてそうなるのかなんて考えるだけ無駄、だった。


──そうなるようになっているのだ


「いいぞ、本当にミズキは俺の妻に向いている」
「?」
「理屈で考える事をしない。ありのままを受け入れる事の出来る女子だ」
「…御池様」
「もうそろそろ止めろ」
「え」
「御池様と呼ぶのを。おまえはもう俺の名前を訊いているはずだ」
「…」
「俺の名前が解るな?先程から端々で云っておるぞ」
「……リュウ…ビ」
「…」
「リュウビ…様」
「そうだ──だが様は要らぬ」
「んっ」
「俺とおまえは夫婦になる、夫に様をつけるのは好ましくない」
「あ…っ、リュ…リュウビ…っ」

御池様改めリュウビ様──リュウビの指が私の奥深くを弄る。

一面青い世界の中のぼんやりとした輪郭で寝台だと解る上で私はリュウビによって其の体を拓かさられる。

「ん…ミズキ、甘いぞ、おまえの体は」
「はぁん…あ、あっ」

全身くまなく舐められ、其のしなやかな指使いに悶える。

水の中だという感覚は全くない。

でも時より体がフワフワとするのは水のせいなのか、其れとも──

「堪らないな…おまえは。俺をこんなにも翻弄させて」
「んんっ…あ、あっ…やぁ」

リュウビの指が私の中を激しく行き来させる。

其の度にグチュグチュとはしたない音を立てる。

「はぁ…すまぬがもう我慢の限界だ」
「っ!」

着ていた着物が肌蹴ていたリュウビは其の全てを剝いで私の前に美しい肢体を晒した。

初めて目にした男性のモノがあまりにも驚く造形で思わず身をすくめた私だった。

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深淵の彼方から 10話



初めての世界

初めての名前

初めての行為


まさか僅かな時間で其れ等全てを受け入れる事になるとは思わなかった。


「あっ…んっ、んんっ」
「…痛むか?ミズキ」
「はぁん…い、痛い…けど…っ」

(止めて欲しくない!)

リュウビの太く尖ったモノがメリメリと私の中を突き進んで行く。

「ミズキ」
「あぁっ…あっ」

其処に何が挿入るなんて想像もした事がなかった。

初めて目にしたモノを自分の体の中に入れる恐怖はあった。


だけど


心の何処かで其れは待ち望んでいた事だったから──


「ふっぅ…んっ」
「!」

リュウビがグッと腰を前に突き出した瞬間、私の中が其のモノの形に誂えたかの様に奥深くに填まった。

「はぁ…挿入ったぞ…全て」
「……ぁ」
「痛むか?」
「…す、少しだけ」
「そうか、無体な事をしたな」
「でも…」
「ん?」
「…幸せです」
「!」

私は潤む目をリュウビに合わせ、そしてそっと掌を其の高揚する頬に当てた。

「リュウビとひとつになれて…幸せです」
「…ミズキ」
「これで私…もうリュウビの奥さんなんですね」
「おまえは…何処まで俺の心を鷲掴みにする」

急に私の中で圧迫を感じた。

「っ!」
「おまえがあまりにも可愛い事を云うものだから…おまえの中の俺が益々膨らんで行く」
「っん…あっ…」
「あまり煽るな。初めてだから優しくしてやろうと思ったのに…出来ぬではないか」
「ひゃ、あっ!」

急に持ち上げられた太腿。

少し浮いたお尻にひんやりとした水の気配を感じた。

「ミズキ、堪えてくれ」
「!」

中に収まっていたモノが少し引き抜かれる感じがして、だけど直ぐにグッと押し込まれた。

「ふっ、んんっ」
「あぁぁん!あっあっ…あぁぁっ」

リュウビの激しい腰使いがガンガンと私の中を突きまくる。

「はぁ…ミズキ…ミズキッ」
「あんあんあんっ…ゃ…あ…こ、壊れ…ちゃ」
「壊れぬ──んんっ、はぁあ、あっ」
「ひぃ、ん…あぁっ…あ、あっあっ」

グチャグチャと卑猥な音が響く。

周りの静かな空間に吸い込まれる様に響いては無音になる。

隙間なく密着する私とリュウビの体は熱く、まるでひとつに混じり合いそうなくらい重なった。

「出すぞ…おまえの中に…っ」
「はぁんあんあんっ」

もう意識が飛びそうなくらい何も考えられなかった。

ただ私の中はもどかしい程に震えて、何か大きな波が来るような気がした。

「ん…ミズキもそろそろだな」
「な…何が…っ…何か…や…おかしな感じがっ」
「其のまま溺れろ。俺の全てに──ミズキ」
「っ…!ぁ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ──!」

私の奥深くの其のまた奥に何かが填まった様な気がした瞬間、ブルッと私の体は痺れ、そして其れは奥底を中心に全身へと駆け巡って行った。

ドクドクと私の中に何かが注ぎ込まれる感覚。

(あ…っ)

其れは温かくて愛おしさが込み上げて来るもの。

「…っ…ミズキ…」
「…ずっと…ずっと…待っていました…」
「…」
「あなたが迎えに来るのを…この時をずっと…」
「…そうか、待たせたな」
「……」

其れは私が口にした言葉だけれど、私自身が考えて思って吐き出した言葉ではなかった。

だけど言葉にして酷く安堵した気持ちになった。

私の中に注ぎ込まれたものはあっという間に私の胎内に吸収された。


私には其れを待ち望んでいた者の歓喜の声が聞こえた気がしたのだった──


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