「えっ!さっちゃん、しちゃったの?!」
「しーっ!声、大きいっ」
「っ」

慌てて両手で口を塞ぐ。

そして何故かじわじわと顔が赤くなるのが解った。

「もう、瑞生ってば…そんなに驚く事じゃないでしょ?」
「だ、だって…私たちまだ中2だよ?は、早くない?」
「早くないよ。求められた時が其の時でしょ」
「…」

(そう…なのかなぁ)

親友の咲恵ちゃんがえっちしたという報告を訊いてただただ驚くばかりの私。

「まぁ瑞生は奥手だからね。彼氏もいないし」
「…別に彼氏なんて要らないし」
「またまたぁ~本当は欲しいんでしょ?雅紀の友だち紹介するって云ってるのになんで未だに断る訳?」
「いや…本当要らないから」

(要らない──というか…作れないんだよね)


咲恵ちゃんと彼氏の雅紀くんは小学生の時から付き合っていた。

勿論小学生の時はただ仲のいい男友だちって枠を超えていなかったようだったけれど、其の関係は中学生になってからガラッと変わった様に思える。

「ねぇ、瑞生はどんな男子が好みなの?」
「え」
「なんかそういうの訊いていなかったなぁと思ってさ。タイプに近い友だち探してもらうからさ」
「いや…本当に、私」
「瑞生も彼氏作って、其れでダブルデートしようよ。きっと愉しいよー」
「…」

咲恵ちゃんの軽快なトークに圧されどうしたものかなと思っているとタイミングよく予鈴が鳴った。

私は(助かった)と思いながら次の授業の準備をするために席に着席した。



「次のテストには此処、必ず出るからな。とりあえず公式だけでもバッチリ覚えておけ」

「…」

授業中、ぼんやり考える事といえば先ほどの咲恵ちゃんの報告だった。

『昨日、雅紀としちゃった』

咲恵ちゃんが雅紀くんとキスをしたと報告された時もビックリしたけれど…

(えっち…しちゃったんだ)

近しい友だちのそういう話を訊くとドキドキしてしまって仕方がない。

(でもでも…14歳でっていうのは早過ぎでしょう!)

私がそう思う事は多分当たり前の事なんだと思うのだけれど、どうも友だちの輪に加わってみんなの話を訊くと私の其の考えは古臭いんだと思い知らされる。

(私以外の友だち…殆どキスしてるって云ってた)

中には彼氏じゃない、男友だちともノリでしちゃったという子がいる有様。

(す、好きな人じゃないのにキスって出来るの?!)

私は出来ない!

絶対出来ない!

そんな事を考えたらまたカァと顔が赤くなったのが解った。

(あぁ…もう、なんだか生き辛い…)

はぁとついたため息は静かな教室にフッと消えて行った。






「瑞生、今度の土日お祖父ちゃんのお墓参りに行くわよ」
「あ、う、うん」
「何も予定なかったわよね?」
「ないよ」
「じゃあ準備しておいてね」
「解った」

夏休みに入って一週間。

母から田舎に帰る事を訊かされドキッとした。

(お祖父ちゃんのお墓参り…か)

4年前に亡くなった私の祖父、野宮三郎は母の父親だ。

代々野宮家は当たり一面の広大な土地を管理して来た資産家だったそうだ。

野宮の家の歴史について少し触れた事のある私は少し複雑な気持ちと、そして

(…御池様に逢うのも一年振り、か)

そんな事を思って、またポッと顔が赤くなったような気がしたのだった。


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