久し振りにインキュバスの力を使って夢を跨いでやって来た夜宵さんに性急に求められる。

「朝恵」
「ん…っ」

優しく肌に触れる大きな掌は少し冷たくて思わず身震いした。

「手、冷たい?」
「少しだけ…でも…体が火照って来たから…気持ちいい」
「…本当可愛いな、朝恵は」
「ぁ」

ジュッときつく吸われた胸の膨らみからサァッと鳥肌が立った。

「はぁ…もう三日も朝恵を抱いていない。拷問だろ、これ」
「三日で拷問…」
「そうだろう?何、朝恵は全然平気なの」
「…」
「平気?」
「~~~っ」

ジッと見つめられてしまって恥ずかしくなる。

直ぐに「平気じゃない」と返せばよかったのに変に勿体ぶって素直になれなくなった典型例だ。

「いいよ、口に出さなくても。朝恵の気持ちなんて全部お見通しだからな」
「! ひゃっ」

少し意地悪な表情をして夜宵さんは私の両脚を大きく広げた。

「朝恵の甘い蜜、吸わせて」
「ぁ…っ」

有無をもいわせない勢いで私のしとどに濡れている花弁を其の熱い舌で舐めすくう。

「あ、あぁぁっ」
「…」

下から上へなぞる様に舐め上げ、そして蜜を湛えた窪みにグッと舌が差し込まれる。

「ひゃん、あ、やぁ…っ」
「ん、んっ」

静かな室内にヌチャヌチャと響き渡る夜宵さんからの絡められる音と、私からのはしたない喘ぎ声。

三日間セックスをしていなかっただけでこんなに貪欲に求めてしまうほどに私もすっかりこの甘い行為に溺れてしまっている。

「朝恵…」
「夜宵…さ─── んっ!」

トロトロに解された私の中に夜宵さんのモノが滑り込む様に挿入る。

羞恥の塊の様な粘着音が続き、最奥を突かれた瞬間、其処に私の甲高い声が加わった。

「はぁ…相変わらず…直ぐに引っ張られ…っ」
「あんあんあんっ、ふぁっ…!」

忙しなく動く夜宵さんの腰を力の限り掴んで、其の動きに連動する様に自然と私の腰も動いた。

もっともっと気持ちのいい処に夜宵さんのモノを誘導する様に、私の腰は厭らしくうねった。

「朝恵…レベル上げ過ぎ」
「ふぇっ?」

やけに艶っぽい顔つきでそう囁く夜宵さんの言葉にカァッと赤くなった。

「本当育て甲斐のある嫁だ」
「!」

『嫁』という言葉にあり得ない程の幸福を感じ、私はあっという間に絶頂を迎えてしまった。

キュウキュウと夜宵さんのモノを締め上げている最中に感じる夜宵さんからの熱い滴り。

ドクドクと私の中に流れ込んでくる温もりにまた涙腺が緩みそうになった。



其れからも私たちは何度も絶頂を味わって、程よい倦怠感と眠気を感じていた。



「…朝恵、そろそろ帰る」
「ん…」

もうじき雄鶏が鳴くだろう夜明け前、腕枕していた右腕をやんわりと引き抜きながら夜宵さんは呟いた。

「夜明け前に帰らないと此処に残ったままになる」
「…残っていいじゃないですか」
「…」
「一緒に…朝ご飯食べて…一緒に会社、行きましょう?」
「無理。俺、部屋着のままじゃん」
「…」
「鞄も携帯も持っていない。どうしたって一度家に帰らないといけない」
「…そう」

インキュバスとして夢の中を行き来するのは文字通り身ひとつ状態で、何かを持って移動する事は出来ないのだと云っていたのを思い出した。

『ポケットに入る程度の薄いものなら一緒に持って来られるけどな』と云ってコンドームを見せられた時はまだそういう行為に慣れていなくて赤面したのを覚えている。

「駅で待ち合わせして一緒に行こう」
「…はい」
「おい、ちゃんと訊いているか?寝呆け眼で訊いて忘れるんじゃないぞ」
「大丈夫…です」
「…まぁいい。家を出る前に一度電話するから」
「…はい」

ちゃんと訊いています。

(訊かない訳ないです、夜宵さんの言葉を)

「──じゃあな、しばしの別れだ」
「んっ」

夜宵さんは私の額にチュッと軽くキスして柔らかく笑った。

そして白い靄の中で幻の様にスゥっと私の前から消えてしまった。

(…帰っちゃった)

そういえばインキュバスとしての夜宵さんが帰る処を見たのは初めてだったなと思った。

微睡みの中の不思議な経験に少し驚きもしたけれど、でも嬉しくて幸せな気持ちの方が何倍も勝っていた。

(こういうのがあると夜宵さんがインキュバスでよかったって思っちゃう)

何日もすれ違う中でほんのひとときでも触れあう事の出来るこの状況を私は素直に嬉しいと思った。

(あ、エステの事、云いそびれちゃった)

夜宵さんに逢ったら真っ先に話そうと思っていた事だったのに、なんだか其れ処じゃなかったのに気が付いて少し鎮まりかけていた体の火照りが蘇って来た。

(…まぁいいか…ちゃんと逢えた時で)

意識があったのは其処までで…

気怠い体を心地よいシーツの波の中に沈めると希薄な意識はあっという間に眠りの狭間へと引きずり込まれて行ったのだった。

yoas150
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