Evil Dolce

* AriaLien Sub BLOG *

◆Evil Dolceは樹野花葉(キノハナハ)の過去の作品を更新しているブログです。
◆不思議要素のある恋愛物語をメインに綴っています。
◆ブログ内の記事・作品の無断転載・コピーを禁じています。

2018年02月

お報せ



【Evil Dolce】に来てくださる皆さん、いつもありがとうございます。 

樹野花葉です。

私のメインブログである【AriaLien】のサブブログとして2017年8月6日より立ち上げましたこのブログは今日、2018年2月10日をもって活動休止とさせていただきます。

元々樹野花葉以前に使っていた旧名で綴って来た過去の作品を転載する目的で始めたブログでした。

なので昔から私のブログ及び作品を知ってくださっている読み手さんには馴染みの作品ばかりの更新でした。

故に作品の全てを更新し終えた時、このブログの役目は終わると公言して来ました。

其のいつかが今日になった訳です。

しかし実際は全ての作品を転載した訳ではありません。

まだ数作品更新していないものが残っています。

ですが、メインブログの方で大きな指針変更があったために、急きょ此方での更新を停止する事にしました。

(詳しい事は【AriaLien】の記事で→ 

本来なら此方で更新する予定だった作品は以後、livedoorブログ【AriaLien】とFC2ブログ【Lune Ouvrage】にて更新して行く事になります。

今までこのブログをご贔屓にしてくださった読み手さんは今度は是非【AriaLien】と【Lune Ouvrage】をご贔屓にしてくださると嬉しく思います。

半年という短い期間の活動でしたが、大変多くの方に来ていただきました。

其れこそメインブログよりもずっとアクセス数がよかったくらいに(笑)

【Evil Dolce】は私のやり切った証のブログとして今後ずっと残して行きます。

更新は無くなりますが、いつでも、何度でも作品を読みに来てくださいね


今まで本当にありがとうございました。


そしてこれからもよろしくお願いします。


20180210 樹野花葉

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夜と朝のまにまに(番外編)



ある条件を満たすと決まって見る夢があった。 

尤もどんな夢を見たのかは起きたと同時に忘れてしまうのだけれど…

見た夢を忘れるという現象は決まってある人の名前を聞いた日の夜に限るのだ。

其れに気が付いたのはほんの数年前。

建築家である父が自分で設計した家を建て、完成した其処に引っ越しをした日からだと記憶する。


「愛生」

「…」

ゆさゆさと揺さぶられる感覚に深く沈み込んだ意識が浮上する。

うっすら開いた目に映るのは少し不機嫌そうな母の顔。

「愛生、いくら日曜日だからといってお昼間近まで寝ているのはどうかと思うわよ」
「…お昼?」
「あと15分ほどでね」
「…」

(そんなに寝ていたのか)

ゆっくりと体を起こしうーんと上体を伸ばす。

締めきっていたカーテンを母が開けると薄暗かった部屋の中が一気に明るくなった。

「眩しい」
「ほら、顔を洗って朝ご飯兼昼ご飯を食べちゃいなさい」
「…はぁい」

其れだけ云うと母はゆっくりと部屋から出て行った。

(お母さん、大変そう)

大きなお腹を抱えながらも家族の為に家事をこなし、厭な顔ひとつしないでいつも幸せそうに育児をこなす母を素直に凄いと尊敬する。


其の一方で

「朝恵、この間頼まれていた書類書いておいた」
「あぁ、ありがとうございます夜宵さん。しかし今時は配布物に名前や写真を載せる時にいちいち許可がいるんですね」
「まぁ個人情報流出に敏感になっている人もいるだろうからな」

「…」

食事を摂っているわたしの視界に入るリビングで、父と母が他愛のない話をしている。

そんな両親を時々不快に思う時がある。

(どうしてただ話しをするだけでベタベタと引っ付いているのかしら)


小学生高学年になってようやくうちの両親は他の子の両親とは少し違うんじゃないかと思う様になった。

結婚して十年以上経つというのにこんなに毎日ベタベタしている夫婦っているのかなと思う。

「おっ、今動いただろう。外からでも解った」
「えぇ。今日は朝からよく動いて…少し痛いくらいです」
「大丈夫か?少し横になれ」
「大丈夫ですよ──あっ」

(また始まった)

いつもの如く父は自分の太ももを枕にして母を横に寝かせた。

「腹の子も大事だが俺が一番大事なのは朝恵だからな」
「もう…夜宵さんったら」

そうしてあっという間にふたりの世界に入り込んでしまった。

(本当子どもが目の前にいても容赦ないんだから)

いくら見慣れた光景とはいえ時々うんざりする時がある。

「ねぇ、眞生と紗生、其れに李生と志生は?」

ふたりの世界に穴を開けようと疑問に思っていた事を投げ掛ける。

「朝から高岡さんが来て遊園地に連れてってくれているの」
「…高岡さん」

其の名前を聞いた瞬間、ドキッとした。

(あ…また今夜夢に見る、かな)

「愛生も連れて行くって何度も起こしたんだけどおまえ、全然起きなくて。土産買って来るって云ってたぞ」
「…ふぅん」

道理で家の中が静かだと思った。


我が家は他の家よりも子どもが多い。

わたしを含めて五人。

年子の三人姉妹と双子の弟。

其れにまたひとり近い内に生まれようとしている。

高学年になってから妹弟が多い事を男子からからかわれる事があって、其れがわたしの両親が恥ずかしいと思う気持ちに拍車をかけていた。

『子どもが多い事はちっとも恥ずかしい事じゃないよ』

食べ終わった食器を片付けながら頭の中に響いたのは高岡さんの言葉だった。

『其れだけお父さんとお母さんは愛し合っているって証拠なんだから。其れはとっても幸せな事なんだよ』

高岡さんが投げ掛けてくれる言葉はいつもわたしを救ってくれる。

父の同僚で仲がいい友人という事でわたしが生まれた時から頻繁に我が家に出入りしている少し変わった人。

とてもカッコよくて子煩悩の癖に未だに独身だなんて変だなと思う事もあるけれど…

(結婚しちゃったらこういう付き合いってなくなるのかしら)

そう思うと少しだけ胸が痛くなった。

自分に子どもがいないから、其の代わりにわたしたちを可愛がってくれているのだと解っているから余計に其れがなくなってしまうのが寂しいなと思った。

(そんな気持ちからわたしは何かの夢を見てしまうのかしら?)

高岡さんの名前を聞いて、高岡さんに想いを馳せると決まって其の夜は何かの夢を見る。

だけど其れがどんな内容で誰が出て来て何をしているのかは全く覚えていない。

とても不思議な夢。

ただ以前一度だけ高岡さんにそんな話をした時に云われた言葉があった。

『今はまだ何も解らないよ。愛生ちゃんがもう少し大きくなって年頃になった時にきっとどんな夢を見ているのか解る日が来るから』

にこやかな笑顔でそう云われた言葉が私の心の中に深く刻み込まれていた。


(年頃になった頃って──其れっていつなのかしら)


高岡さんがどんな意味を込めてそんな事を云ったのか──?


其の言葉の意味が解る日がいつ来るのだろうかと思いながら、未だにイチャコラしている両親を厭きれながらも幸せな気持ちで見つめたわたしだった。






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夜と朝のまにまに 69話(終)



其の日はあの時と同じように青い空が広がるとても空気の澄んだ一日だった。 


「お…おめでとう~~!」
「ちょ…何泣いてんだよ!」
「だって…だってだってお姉ちゃん子だった十輝がぁ~け、結婚だなんてぇぇ~」
「だからってそんなに号泣するか?──ほれ、ハンカチ」
「あり、ありがと…チーン!」
「…本当、朝恵はいくつになっても変わらねぇな」
「こら!また朝恵って呼び捨て!」
「これだけは生涯直らない。もう諦めろ」
「もうっ!」


八年前、私と夜宵さんが結婚式を挙げ損ねた同じ式場で今日、弟の十輝は結婚式を挙げた。

父と同じく医療の道へと進んだ十輝のお相手は──


「お義姉さぁーん、ブーケ受け取ってぇー!」
「へっ?」

いきなり私の目の前に差し出された可愛いウェディングブーケにギョッとした。

「ちょ…真羽ちゃん、私もう結婚しているんだけど」
「いいじゃないですかーこれわたしのお手製ですよ?何処の誰に届くか解らないブーケトスよりもわたしがもらって欲しい人に直接あげたいんです」
「あ、相変わらずぶっ飛んだ考え方するのね」

高校卒業と同時に付き合い始めたという十輝の同級生だった黒幸真羽ちゃん。

初めて逢った時からなんとなく運命的なものを感じて密かに「ひょっとして」と思っていた事が現実となった。

人懐っこい性格なのか、真羽ちゃんは私の事をとても気に入ってくれてまるで本当の姉妹の様な付き合いを続けて来た。

(今日から本当の妹になったね)

「ほらほら」とブーケを押し付けて来る真羽ちゃんをどうしようかと思っていると

「おかあさん、それ、あきにちょうだい」
「え」

斜め下から伸びて来たちいさな掌に驚いた。

「ずるい!まきにちょうだいっ」
「ちょ…」
「えぇ~さきもほしいぃ~」
「あ、あなたたちねぇ」

私に纏わりついて来た娘たちに気を取られている内にいつの間にか真羽ちゃんが渡したブーケが私の手に握られていた。

「ママ、ズルい!ママもうけっこんしてるのにぃー」
「そうそう、ブーケってけっこんしていないおんなのこがもらうものなんだよ」
「だからそれはおかあさんがもらってはいけません」

「~~~っ」

(女の子が三人寄って集(タカ)ると煩いっ)

私に纏わりつく三人の娘たちは勿論私と夜宵さんの子どもだ。

長女の愛生(アキ)次女の眞生(マキ)三女の紗生(サキ)

年子で生まれた三姉妹だ。

そして三女出産から少し間が空いたけれど、現在私は四人目を妊娠中だった。

ブーケが欲しい欲しいと強請って煩い娘たちをどうしたものかと戸惑っていると

「こら、おまえたちにはまだまだ早い」
「え」

私が高く掲げていたブーケは後ろからひょいと奪われた。

「お父さん」
「「パパ」」
「夜宵さん」

私の肩を抱く様に寄り添った夜宵さんは私から奪ったブーケを真羽ちゃんに返した。

「真羽ちゃん、気持ちは嬉しいけど余計な事はしないでくれるか」

口調は柔らか、でも云っている事は大概失礼だ。

「あははっ、ごめんなさい、お義兄さん。じゃあこれ誰にもあげないでわたしの宝物にしようっと」
「最初から其のつもりだったんでしょ。あまりうちの嫁と娘たちをからかわないように」
「えっ、私、からかわれていたの?!」
「愛ですよ、愛!お義姉さんの反応、可愛いんだもん」
「…は、ははっ」

随分慣れたと思っていた不思議系美少女の真羽ちゃん。

(でもまぁ、其れくらいじゃないと十輝とは付き合えないかも)

娘たちも真羽ちゃんの事が大好きで、少し目を離すと直ぐ彼女の周りをウロチョロしていた。

「しかし…そうか。今日から十輝も一家の大黒柱になるんだな」
「は?何おっさんくさい事云ってんだよ──あぁ、実際おっさんだったか、あんた」
「まぁ年齢的にはおっさんだけど見かけは君ぐらいの年齢とさほど変わらないだろう」
「~~っ、腹立つけどまるっきり否定出来ないのがまた腹立つ!」

そう、夜宵さんは歳を重ねても出逢った頃の様に相変わらず麗しい容姿を保っていた。

(其れでも中身は少しずつ緩やかにカッコいい歳の取り方をしているなと思うけれど)

最初の頃ギクシャクして棘々しかった夜宵さんと十輝の関係も、月日が経つ毎に角の丸いものへと変化して行った。


一緒にいる年月が経てば経つ程に夜宵さんの事が愛おしくて堪らない。

其の想いは際限なく厭きもせずにずっと続いている。


「皆さーん、記念撮影致しますよー」

遠くから式場カメラマンさんの呼び声が聞こえた。

「ほらほら主役ふたりは急いだ急いだ」
「おい朝恵、押さなくても行くって──真羽、手」
「わ、十輝くん、手引っ張らなくても歩けるって」

可愛い弟と義妹の晴れ姿に後ろから何度も目を細める。

「──羨ましいか?」
「え」

不意に夜宵さんがちいさな声で私に問うた。

「結婚式。結局あれっきりちゃんとしたの挙げられていないだろう」
「ふふっ、夜宵さんまだ気にしているんですか?」
「…」
「私、全然気にしていませんよ。だってちゃんとウェディングドレス着られたし、其れに結婚の誓いだって教会で誓うだけじゃないでしょう」
「?」
「私、事ある毎に夜宵さんから誓われています。幸せにする、護る、愛し続けるって」
「…」
「結婚式でたった一度誓われるよりも、日常生活の中で何度も囁いてくれる誓いの方が嬉しいです」
「…朝恵」
「そういう訳ですので…此処でもいつもの様に誓ってくれますか?」
「あぁ、喜んで」


そうしてみんなから少し死角になっている大きな木の陰で夜宵さんは私に軽くキスをしながら云ってくれた。

「朝恵、愛している。この気持ちは生涯変わる事無く続いて行く」
「私もです。私もずっと夜宵さんの事を愛しています」


お互い見つめながらまた軽くキスを交わす。


危うく深く濃厚になる処を私たちを呼ぶ娘たちの声で我に返った。


顔を見合わせながら笑って、そして強く手を握りしめながら私たちは娘たちの元に歩んで行くのだった──






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夜と朝のまにまに 68話



甘い薔薇の匂いが充満する部屋に咽びそうだった。 

でも息苦しいのはきっと其の匂いだけのせいじゃない。


「あらあら、まだ落ち込んでいるのぉ?」
「…」

事の元凶である彼女にこの苛立ちをぶつけたくても其れはただの八つ当たりだと充分に解っているだけに益々気持ちは奥底へと堕ちて行く。


会社が冬休みに入ってから其の殆どの日をリリ様の所有するマンションに身を置いていた。

特に何をする訳でもなく、ただ自堕落にリリ様の性のはけ口になる日々。


「先刻朝恵ちゃんからメールが来てたわよ」
「え!」

『朝恵ちゃん』という固有名詞に意識が浮上する。

「あの時のお礼がしたいから是非家に来てください──だって」
「…嘘」
「嘘じゃないわよ。其の内俊樹の処にも連絡が来るんじゃないかしら」
「…」

あの時のお礼──

「そんなの…行ける訳がない」


あの時…あのクリスマスイブの結婚式の日。

僕は我を忘れて朝恵ちゃんを襲った。

リリ様から朝恵ちゃんが紗夜里の生まれ変わりだと教えられた途端正しい思考を保つ事が出来なくなった。

「紗夜里の生まれ変わりじゃなくて正しくはアルミサエルの魂を持った生まれ変わりよ」
「…」
「なぁに、其の目」
「すみません、今、ひとり反省中なので横からいちいちチャチャをいれないでください」
「チャチャじゃないわ。正しい事実を訂正してあげたんじゃないの」
「…」
「つまりはそういう事なのよ。魂は初めからアルミサエルのもの。ただ人間の器として最初が紗夜里で次が朝恵ちゃんだというだけの話」
「…」
「魂は同じかもしれないけれど、其れ以外は全く似て非なるものよ。よく考えなさい。あなた、朝恵ちゃんをただの女として抱く事が出来るの?」
「…」
「実の息子の、其れこそあなたと紗夜里の子どもである夜宵の女をあなたは他の人間の女と同じ様に抱けるというの?」
「…其れは」
「あの時、例え朝恵ちゃんが悪阻で吐かなかったとしてもあなたはきっと朝恵ちゃんを抱けなかったでしょうね」
「!」
「わたしはね、本当は其れが見たかったのよ。最終的には悩んで苦しんで寸での処で行為を止める俊樹ののたうち回る無様な姿が」
「……本当に…いい趣味をしていますね、リリ様」
「わたし、愉しい事をするのも見るのも大好きなの。其れにわたしを愉しませてくれる俊樹や夜宵、其れから朝恵ちゃんも大好きなのよ」
「…」

(あぁ…本当敵わない)

長い付き合いでこういう人だという事はもう充分に解っているのに…

「其れにこれはもう何度も云っているけれど、俊樹は何も悔やむ事はないわ。あの日あった事の記憶は綺麗さっぱり改ざんしてある。朝恵ちゃんは俊樹にされた事は全く覚えていないし、朝恵ちゃんが覚えていないという事は夜宵にも解らない」
「其の点に関しては本当…感謝しています」
「ふふっ、アフターフォローも完璧!わたしって出来る女よね~本当」
「…種を蒔いて刈り取るまでがリリ様──ですよね」
「何、其の例え」

そう、覚えていない──という事実が唯一の救いだった。

あの時僕は余りにも気が動転してしまって朝恵ちゃんの記憶を操作する事を忘れてしまっていた。

苦しむ朝恵ちゃんに何も出来ないまま狼狽えていた処にリリ様が現れ僕を救ってくれたのだ。

「…はぁ、まだまだ青いな、僕は」
「そう簡単に熟されても困るけれどね」
「──あ」

バスローブを脱ぎ、大きなベッドの上で其の見事な裸体を晒すリリ様が僕を手招きする。

「俊樹──あなたはまだ紗夜里の事を忘れられないの?」
「…」
「一途なインキュバスというのは少し問題があるけれど…でも夜宵みたいな例外があるというのを今回知った事はわたしにとっても面白い事だったわ」
「…」
「朝恵ちゃんはきっと沢山の子どもを生むでしょうね。なんてったってあの子宮の天使の魂を持っているんですもの」
「…でもまた…紗夜里の時の様に子どもを生んだ途端其の生を神に奪われるのでは」
「其れはないと思うわ。天界神も同じ過ちは繰り返さない。万が一天界神が朝恵ちゃんと夜宵の結婚を認めていなかったら子どもは授からなかったはずよ」
「!」
「つまり俊樹──あなたと夜宵とでは同じインキュバスでも格が違うって事じゃないのかしら」
「ははっ、確かに夜宵は僕と違ってただの低級悪魔とは違いますからね。半分は天使の魂を持った人間…紗夜里の血を引いている訳ですから」
「だから天界神も見たくなったんじゃないかしら。そんな特殊な人間同士が交わって出来る子どもがどう成長して行くのか」
「…」
「わたしの目論見通りの展開になって本当面白いったらありゃしないわ」

あははと甲高い笑い声をあげながらリリ様はベッドに乗った僕の服を脱がして行く。

「はぁ…俊樹…あなたまた人間との間に子どもを作りなさいよ」
「…」
「わたし、知っているのよ。あなた、紗夜里との事があってから襲っている女に精を流し込んでいないでしょう?」
「…」
「子どもが出来ない様に…わざとしているって」
「…お仕置きしますか?」
「……」
「インキュバスとして失格の僕を──殺す様に甚振ってそんな事でも愉しんでみますか」
「…ふふっ、其の気ならとっくにしているわ」
「っ!」

項垂れている僕のモノにしゃぶりつきベチャペチャと口の中で転がしながら話し続けるリリ様。

「あなたはわたしの一番のお気に入りなの。あなたが好き勝手したってわたしを愉しませてくれる限りどんな事だって容認してあげるわよ」
「う…っ、はぁ…」
「ん…可愛い俊樹。あなたがわたしの従順な下僕である限り夜宵も朝恵ちゃんも──そしてふたりの間に生まれてくるだろうあなたの孫たちもみぃーんなわたしが護ってあげるわよ」
「……」


今更なんだって云うんだ。


もうずっと僕はこうやって生きて来たじゃないか。


其れを今になって何をナーバスになっているんだか──


「俊樹?」
「──リリ様、今夜は僕に主導権を握らせて下さい」
「ふふっ、やっといつものあなたに戻った。いいわよ、わたしをうんと快楽の底に引きずり込んで頂戴」
「仰せのままに」

体を起こしリリ様を押し倒して其の身に跨る。

全ての悪魔族の頂点に立つ王の妻であるリリ様を抱くという身に余る光栄に打ち震えていた頃の事を思い出すと少しだけ紗夜里と出逢った時の甘酸っぱい気持ちに似ているなと思った。


(紗夜里、僕は僕のやり方で夜宵を護って行くよ)


其れを最後に僕は本当の意味で紗夜里と決別したのだった。


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夜と朝のまにまに 67話



結婚式当日に発覚した妊娠騒動のお蔭で式は急遽キャンセルになってしまった。 


(妊娠していただなんて…そんなの全然気が付かなかった!)

確かに生理が止まったなとは思っていた。

だけど私は昔から緊張した日々が続くとストレスから割とよく生理が止まったり不順になったりする事があったから今回もそうだと思い込んでいた。

(というか本当妊娠だとは全く思わなかったのですよ!)

だって夜宵さんとセックスする時はいつも避妊無しでいつ妊娠しても不思議じゃない状況の中、大抵ちゃんと生理は来ていて、だからそう簡単に妊娠ってしないんだなと思っていた。

結婚式の準備を始めた途端に生理が止まれば其れはストレスや緊張からが原因で──と考えてしまうのは仕方がない事じゃないでしょうか!


「あぁ、解った解った」
「~~~っ」
「朝恵の弁解ちゃんと訊いたから少し落ち着いて安静にしていろ」
「夜宵さぁん~ごめんなさい~~」

リビングのソファに座っている私の隣に腰を下ろした夜宵さんにしがみついて詫びた。

「謝らなくていい。というか寧ろ俺は嬉しい気持ちでいっぱいなんだからな」
「…結婚式、中止になっちゃったのに?」
「初めから俺はヤル気そんなになかったし。全然構わない」
「…」


中止になった結婚式の日から一週間。

世間では大晦日を迎えていた。

私たちは入籍だけを済ませ夜宵さんの家で新婚生活を始めていた。

今回の妊娠発覚により私は勤めていた会社を正月休みを機に退職して専業主婦になった。

突然の退職は主に黒川さんが便宜を図り、引継ぎなどの問題は特になかったのだけれど…


「沢山の人に迷惑をかけちゃいました…」
「みんな気にしてないって云っていた。ただ朝恵の体の心配をしながらも妊娠を喜んでくれたじゃないか」
「…こうなると式に呼んでいたのが親しいごく少人数でよかったって思いますね」
「そうだな」

列席者は私の方が両親と弟、仲のいい友人ふたりだけを呼んでいて、夜宵さんは厭々呼んだ高岡さんと黒川さんのふたりだけだった。

だからこそとんだ迷惑をかけて中止になった式でもみんな厭な顔ひとつせずただお祝いの言葉を惜しみなくくれたのだった。

「そういえば私、まだ高岡さんと黒川さんにお礼を云っていません」
「そんなの云わなくていい──と云いたい処だが…今回の件に関しては感謝する処が大きいな」
「そうですよ、ふたりが挨拶に来てくれなかったら私も赤ちゃんもどうなっていたか…」
「…」

私を診てくれた父から危うく切迫流産になる処だったととても怒られた。

早々に妊娠に気が付き、もっと体を労わらなければ駄目だろうと散々お説教を喰らった。


「其の内此処に呼んでお礼がてらご飯をご馳走したいです」
「はぁ?なんで此処にあいつらなんかを」
「だって私当分外出禁止ですし、赤ちゃんの命の恩人として早めにお礼したいという気持ちが強いですし」
「…」
「いいですよね?夜宵さん」
「……はぁ…朝恵には敵わないな」

夜宵さんは深いため息をつきながらもふたりを招待する事を渋々承諾してくれた。

「ふふっ、よかった」
「…まぁ、今の俺は機嫌がいいしな。特別の計らいだ」
「あっ」

そう云いながら夜宵さんは私を横抱きにして仰向けになったお腹にそっと優しく掌を押し付けた。

「…何も感じないな」
「まだ全然ですよ。だってまだ二ヶ月ですよ」
「そっか…でも本当にいるんだよな、此処に」
「はい…いますよ。私と夜宵さんの子が」
「…」

夜宵さんは私の言葉に何ともいえないふにゃっとした表情を浮かべとても幸せそうに何度も私のお腹を擦った。

「夜宵さん…」
「俺、幸せだ…凄く、滅茶苦茶幸せ」
「…」
「こんなにも早く子どもが出来るとは思わなかったから…幸せ過ぎて発狂しそう」
「しないでくださいね。私も我慢していますから」
「朝恵…」

夜宵さんは上体を少し屈め、横抱きしている私の唇にそっとキスをしてくれた。

チュッと軽いリップ音が静かな室内に響く。

「…ヤバい」
「え」
「こんなキスだけじゃ済まない」
「…」
「したい──けど…当分お預けだったか」

母体が安定するまでセックスは控える様にと父から云われていた事を夜宵さんは律儀に護っていた。

あんなに好色な夜宵さんが自分の欲望よりも私やお腹の赤ちゃんの事を第一に考えてくれる気持ちがとても嬉しかった。

だからつい

「…夜宵さん」
「ん?」
「頑張っている夜宵さんにご褒美…あげましょうか」
「は?」

いつも私を愛してくれる夜宵さんに感謝の気持ちや愛おしい気持ち、そしてもっと幸せな気持ちになってもらいたいという想いから自然と言葉が出ていた。

「口で…してあげますよ」
「!」
「あまり慣れていないから…下手かも知れませんけど」
「…」
「其れでもよかったら」
「……ははっ、ようやく調教の成果が出た」
「!」

そう云うと徐に取り出したモノを私の手に握らせた。

「や…夜宵さんっ」
「口でしてくれるの嬉しいけど無理しなくていい──手で…」
「…」

悪阻がある私に気を使って云ってくれる言葉がまた私を幸せな気分にさせてくれる。

ゆっくり動かす手に反応して柔らかだったソレは徐々に硬さを増して行った。

「んっ」
「…」

時折漏れる夜宵さんの艶っぽい喘ぎ声が私の中を潤して行く。

(やだ…こんなの私だって我慢が…っ)

「朝恵も気持ちよくなれ」
「!」

私の気持ちを悟った夜宵さんが器用に私の熱く潤んだ中に指を滑らせた。

「優しく愛でてやるから」
「~~~っ」


私も大概厭らしいものになったなと羞恥心を抱きながらも、与えられる優しい快感に逆らう事は出来なかったのだった。

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樹野 花葉

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