Evil Dolce

* AriaLien Sub BLOG *

◆Evil Dolceは樹野花葉(キノハナハ)の過去の作品を更新しているブログです。
◆不思議要素のある恋愛物語をメインに綴っています。
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2017年09月

緋色禁猟区 25話



吸血鬼族の男は誰もが処女である女の最初の男になりたがっている──


そんなおかしな風習を知ってただ呆然とするしかなかった私だったけれど、先生の様子を見ていると其れは相当崇高な理想なんだというのが解った。


(…どうしよう)

先刻から隣に座っている先生が気持ち悪いです!

「…」

なんだか妙にソワソワしてチラッチラッと私を見ては顔を赤らめたりしている。


(つい数十分前の人物と同じ人とは思えない!)

あんなに厚顔無恥で偉そうで俺様だった先生がこんな風になっちゃうなんて。


(処女って絶滅危惧種か何かと同類なの?!)


思わず心の中でひとりボケツッコミをしてしまいそうになる。


(──ん?ちょっと…待って)


私はある疑問が浮かび先生に問いかけた。


「あの…先生が前に云った私に女性としての魅力を感じない…というのは…も…もしかして──」
「あぁ…あれは其のままの意味。男を知っている経験済みの女はみんな俺にとっては女としての魅力は感じないって事」
「……か…顔の美醜とか…体つきがセクシーとか…そういった意味じゃないって事…ですか?」
「当たり前だ。そんなの俺にとっては何の意味もない。俺が求める女としての魅力は処女の持つ神聖さだ」
「~~~」


な…


なんて…


(なんて事なのぉぉぉー!)


思いっきり誤解していたよ、私!!


(あ、そういえば先生は普通の人間の男じゃなかったんだった)


求める理想の女性像も私が考えるものとは違うだなんて。


(~~気がつく訳ないよ、そんなの!)


私は頭を抱えながら少し前まで悩んでいた自分が本当にお馬鹿だと思った。


「──梨香」
「!」

いきなりギュッと先生に抱きしめられた。


「梨香──今までの俺の無礼な態度を赦してくれ」
「せ、先生」
「おまえの事が気になっていてもどうしても処女じゃないんだと思ってしまうとちゃんと愛するという気持ちを持てなかった」
「…えっ、き…気になって…?」
「あぁ、最初は人間とのハーフという事で興味を持っていたが…お前と接する機会が増える毎に気持ちは傾いていった」
「!」
「だけど半分とはいえおまえも吸血鬼。もうとっくに父親か兄に穢されているだろうと思った。女として愛したいと思ってもどうしても俺の中の譲れない信念が邪魔をして…いっそ遊び女として扱おうと思った」
「…」
「だけどおまえは其の歳まで純潔を守って来たんだな。そう思うとおまえが…おまえの其の純粋なまでの貞操観念が高尚過ぎて…おまえという存在が俺には神々しくて眩しくて…我慢出来ないくらい愛おしく感じる」
「先生…」
「もう手遅れか?俺は…おまえに酷い仕打ちをした俺はもうおまえの中では忌むべき者になってしまったか?」
「…」


正直私が処女だと解った途端の先生の変わり身には驚いて「どうなんだろう」と思うところもある。


だけど経緯はどうあれ、先生は私の事を気にしててくれたという事が嬉しくて、そして私もやっぱり今でも先生の事が好き──という結論に至ってしまう。


昼間の優しい先生は勿論、今では夜の…


本当の先生までもいつの間にか私は──

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緋色禁猟区 24話



「梨香──俺と…俺と結婚してくれ」
「────は?」

其れは本当に突然の仰天発言だった。


「今すぐじゃなくていい。梨香が高校卒業してからだって──」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って、先生!」

私の手をギュッと握り締めながら一方的に話が進む先生に私は戸惑っていた。


「ど、ど、どどどどうしていきなりそんな」
「…梨香がしょ…処女…とかっていうから俺は──」
「は?」

なんだかまた頬を赤らめてモジモジしだした先生。


「俺の…俺の理想の女がまさかこんなに近くにいたなんて思いもしなくて」
「待って!待ってください、先生!あの…もっと解りやすく…馬鹿な私にも解る様に説明をお願いします」

あまりにも断片的なもの云い方に全然要領が得なくてつい、声を荒げてしまった。


「解りやすく…っておまえは本当に吸血鬼の事を知らないのか?」
「…す、すみません…名ばかりの半分吸血鬼で」
「そうか──なら教えてやる。吸血鬼の男にとって親族以外の処女の女は最高の理想の女なんだ」
「……………は」


先生が…何を云っているのか解らない…


(親族以外の処女って…何──??)


「す…すみません、もっとより解り易く…お願いします」
「──吸血鬼族の男にとって処女とは聖女に等しい程の尊い存在で、処女の最初の男になった者は絶大な力を得る事が出来るといわれている。だからこそ吸血鬼族の男にとって処女は最高にして理想の女となる。だけど大抵の吸血鬼族の女は10歳になる頃には既に処女じゃない」
「えっ…!な、なんで…そんなに経験が早いんですかっ」
「結婚して娘が産まれた時点で父親が最初の男になるからだ」
「!」
「近親姦は吸血鬼族では珍しい事じゃない。吸血鬼族の男にとって結婚した女は大抵処女じゃない。そうなると処女を手に入れようとするなら其れは産まれた自分の娘に求めるしかないだろう」
「…な…何…其れ」

改めて知った吸血鬼族の風俗とか親子関係。


だけど私は──


「で…でも…私のお父さんは私にそんな事をしなかった…」
「恐らく娶った女が処女だったのだろう」
「! お母さんが…」

父と母の其の奇跡の出会いに感謝したい気持ちで私は胸がいっぱいになった。


「! あっ、だから先生は私が…其の──」
「父親がいて、おまけに兄までいれば当然もうとっくに処女なんかじゃないって思うだろう、普通。ましてや17なんて歳で処女だと考える方があり得ない」
「~~~」

半分とはいえ吸血鬼としての本能の強い兄は本来ならとっくに私を襲っていたとしても不思議じゃなかった。


(──という事はお兄ちゃんは本当に我慢してて…)

私が厭がっているのを無理強いする事無く受け止めてくれていたんだ。


(お兄ちゃん…)


私は兄が本当に妹思いのよい兄なんだと知ってより一層家族としての兄の事が大好きになったのだった。


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緋色禁猟区 23話



暫く待っても先生が寝室に戻ってくる気配がなかったので、私は椅子に掛けてあった下着や制服を着込んでそっと寝室を出た。

長い廊下の先にぼんやりと薄暗い光が見えた。


足音を立てない様に其処に行くとどうやら其処はリビングみたいで、黒いソファに項垂れて座っている先生がいた。

室内は薄暗く、唯一の明かりは小さなスタンドランプの淡い光だけだった。


視界に入った掛け時計は22時を過ぎていた。


(もうこんな時間…)


家になんの連絡もしていなかったから家の事が気になった。


「入って来い」
「!」

項垂れたまま急に此方に話し掛けて来た先生の声に驚いた。


(流石吸血鬼…)


人の気配が直ぐに解るのだろうと思った。

少し躊躇ったけれど、私は静かにリビングに入った。


「あ…あの…先生、もうこんな時間なので私…家に──」
「家には数学補習者のための特別授業を夜通し開くので今夜は学校に宿泊する事になったと連絡しておいた」
「はぁ?! なっ、なななんですか其の変ないい訳!そんなのおかしいって思い──」
「おまえの母親は『お手数掛けますがどうぞみっちりしごいてください』ってお願いしていたぞ」
「……」


──呆れてものが云えない


(お母さん、何処まで呑気なのー!)

やっぱりうちの母は人間としては何処かおかしい人なんじゃないかとしみじみ思ってしまう。


(まぁ…吸血鬼なんかと恋して結婚する様な人だからね)


そんな事を思いながらも、じゃあどうしようかなと考えていると


「座れ」
「え…」

ポンポンと叩いていたのは先生の隣の場所だった。


「…」


座れ──と云われれば座るしかない。


私はつつっと先生に近づいて其の隣に座った。


一瞬先生の体がビクッと硬直したけれど──


(…気のせいだよね?)


なんともいえない空間での気まずい雰囲気は暫く続いた。


其の沈黙に耐えられなくなった私は思い切って先生に話し掛けようと思った瞬間


「梨香」
「!」

いきなり名前で呼ばれて今度は私の方がビクッと硬直した。


(な、なななななんでいきなり名前呼びなのぉぉー?!)


心の中であたふたしている私の耳に先生のとんでもないひと言が飛び込んで来た。


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緋色禁猟区 22話



薬で眠らされ、気がついたら先生の部屋に連れ込まれていた。

この状況を作るだけでも相当大変な事だと思ったのだけれど、其処までして私を抱きたがる先生の意図が私には解らなかった。


だけど其れは今考えるべき事じゃなく──


「わ、私は…兄を家族のひとりとしての情は持っていますけど、其の…男…異性としては見てません!」
「だとしたらおまえの高尚な弁解は矛盾している事になる」
「? だから…何がどうしてそう思うんですか」
「おまえは好きな奴じゃないと行為はしないと云った。家族としての情しかない男とどうして寝ているんだ!」
「……は?ね…寝ているって…」
「おまえは実の兄とセックスしまくっているだろう──と云っている!」
「! なっ」
「くそっ!俺に其処まで云わせるな!口が曲がる」
「~~~」

あまりにもハッキリとした言葉に私の体の温度は確実に1度上昇した。


「し、しししししてません!私、まだ処女なんですから!!」
「────は?」
「! あっ」

勢い余って私はとんでもなくはしたない言葉を使ってしまったと今になって気がついた。


「あ、あ…あわわわ~き、聞かなかった事にして下さい!」

私は両手で顔を覆い隠しながら盛大に照れていた。


だけど先生はそんな私の手を取り顔から両手を剥がした。


「やっ!顔、み、見ないで下さい」
「おまえ今………しょ、処女って云ったか?」
「~~! わぁぁぁ、お願いですから反芻しないでくださいぃぃぃー!」

本当に恥かしくて私は消えて無くなりたいとさえ思った。


「おい…嘘、だろう…まさか…あんな特殊な状況下にいて…処女って──」

信じられないものを見るかの様な先生の視線が居た堪れない。


(やだ…本当恥かしい!)


早熟な吸血鬼族にとって17の歳まで経験がないというのはかえっておかしい事なのだと父の持っていたヴァンポーリュの本に書いてあったのを思い出した。


私は身近に同じ境遇の兄がいたから特に遅いとかおかしな事とは思わなかったけれど、いざこういう状況になって本当は私は恥かしい子なんだという事を晒された気がしてならない。


「…うっ…うぅ…」

私は泣き崩れるしかなかった。


仮にも好きな人に自分はおかしいんだという事を知られてしまって死にたいくらい恥かしかった。


──だけど


「え…」

急に全裸の体に毛布が巻かれた。


「な、何…」
「すまなかった…酷い事をした」
「……え」

急に先生は気まずそうに視線を泳がせながらほんのり頬を赤くしていた。


「…せ…先生…?」
「まさかおまえが…処女…だった…なんて知らなくて…其の…てっきり兄とヤリまくっているんだろうと思っていたから」
「はっ?!ど、どどどどういう事──」
「わっ、お、起き上がるなっ!」
「え」

薬の効果が薄れたのか、急に体の自由が利く様になった私は思わず体を起こしていた。


「頼むから!…そ、そんなに…近づくな」
「…え」


先生の態度が先ほどとは全く変わってしまった。


私から距離を置き、そそくさと寝室を出て行ってしまった。


「……な」


(なんなの?!一体っ!)


私は訳の解らないこの状況に混乱するばかりだった。

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緋色禁猟区 21話



「ん…」

気だるい体を何かに揺すられている気がして私は徐々に目が覚めて来た。


「なんだ、もう目が覚めたのか」
「…え」

よく知った声に一気に覚醒してそして私は自分の置かれている状況に衝撃を受けた。


「なっ!」


辺りは暗くて小さなスタンドライトの橙色の光だけが反射している何処かの部屋の、大きなベッドの上に私は全裸で寝かされていた。


「此処は俺の家。宿直当番というのは嘘だ。おまえをからかっただけ」
「?!」
「寒くないだろう?暖房で部屋の中は快適な温度の筈だ」
「せ…せんせぃ」

全裸の私の上に跨っている先生も全裸だった。


私は今自分の身に何が起きているのか一生懸命考えてみるけれど、そんなの解りっこなかった。


「体、なんともないか?」
「えっ…か、体…」
「おまえにキスした時に薬を飲ませたんだ。そんなに強いものではないが、しばらく体の自由が効かなくなるものだ」
「なっ!な、なんでそんな──」
「こうでもしないとおまえは素直になりそうもなかったからな」
「?!」

先生はいきなり私の首筋に牙を刺し血を吸い始めた。


「あっ!あ、あぁ…」

チュウチュウと独特の音を出しながら次第に私は体が火照って来るのを感じた。


「どうした…気持ちいいのか」
「あっ…ん…んん…」

吸血行為の合間に耳元で甘く囁かれる言葉が官能行為に拍車を掛け、私の貞操観念は崩壊しそうだった。


「ほら、意地張らないで足、広げてみろ。お前が欲しいモノを俺がくれてやる」
「…はぁ…はぁ…」

先生の言葉が甘い媚薬の様に私の中を駆け巡って行った。


だけどなんとしてでも私は最後の一線は守らないといけないとガンとして足を固く閉じたままでいた。

「おまえ…此処までしてもそんなに頑ななのはどうしてだ。俺が相手ではそんなに不満なのか!」

急に語気を荒げた先生が私の手首を掴んで、シーツに縫い止めた。


「俺の事を好きだと云ったおまえは直ぐにでも俺に『抱いてください』と云って来るものだと思って待っていたのに…いつまで経ってもそんな素振りもなく、かえって俺を避けている態度すら見せる──其れはどういう事だ!」
「…は?」
「半分とはいえおまえも吸血鬼の端くれだろう!男が相手をしてやると云っているのに無視し続けるとはどういう料簡だと訊いている!」
「…」


先生が何に対してこんなに怒っているのか私には解らなかった。


「この俺が…此処までしておまえを抱いてやると云っているんだ。他の女なら喜んで股を開いていた。なのにどうしておまえは──」

散々訳の分からない事を一方的に捲くし立てられ私も我慢の限界が来てしまった。


「わ…私は好き合った人とじゃなきゃしない!」
「!」

自由にならない体を精一杯奮い起こして私は先生に云い放った。


私の其の行動に一瞬怯んだ先生だったけれど、直ぐに険しい顔付きになった。


「──なんだと…」
「私は…私は…好きな人と…好きな人ひとりだけと…そ、そういう行為はしたい」

半分涙声になってしまって情けないと思った。


部屋には私が嗚咽する声だけが響き、しばしの沈黙の後、先生は呟く様に云った。


「おまえのいう本当の好きな人というのは、おまえの兄だと…そういう訳なんだな」
「………は?」
「兄とはそういう行為が出来るが、俺とは出来ない──ということはおまえの理論から云えば俺は本当の意味でおまえから好かれていないという事になる訳だな」
「ちょ…ちょっと待ってくださいっ!」


先生は何か大きな勘違いをしているんじゃないのかと咄嗟に思った私だった。

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