Evil Dolce

* AriaLien Sub BLOG *

◆Evil Dolceは樹野花葉(キノハナハ)の過去の作品を更新しているブログです。
◆不思議要素のある恋愛物語をメインに綴っています。
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2017年09月

緋色禁猟区 30話



「「なっ!!」」
「あらぁ♪」


(だからお父さんとお兄ちゃんの驚きは解るけれど、お母さんの其の♪マークは一体…)


「長く人間界に居過ぎたせいで多少人間臭くなっているかも知れませんが、一応吸血鬼族としての血は濃いです」

引き続きにこやかに挨拶していく先生。


「本当は今日お宅にお邪魔したのは梨香さんとの結婚を前提とした交際の挨拶が目的でした」
「な、な…」

兄は開いた口が閉まらない状態だった。


そして父はというと──


「…ま…ま…まさか…」


やっぱり父も驚いて表情を硬くしていたけれど、其の表情は兄とは違った驚き方でだった。


「……」

徐々に青ざめていく顔色に加えて小刻みに震えている。


「あなた?どうなさったの」

母も父の異変に気がついて心配そうに寄り添っている。


「お父さん、どうしたの?具合が悪いの?」

私も心配になり父に近づくと、いきなり父はガバッと其の場に平伏した。


「「「!」」」

其の突然の行動に私は勿論、母も兄もビックリした。


「どうなさったの?あなた」
「み、みんな!頭が高い!頭を下げなさい!!」
「へ?」

父が土下座をした格好のまま声を張り上げて私達に叫んだ。


其の言葉の意味が解らず、ただ私は素っ頓狂な声を出すしかなかった。


「ど…どういう事?」
「美紀子、隗、梨香──こ、此の方は…此の方はヴァンポーリュ国の…国王様だ」
「…」
「…」
「…」

状況が飲み込めない私達家族3人はただ呆然としている。


だけど母は直ぐに「あらまぁ、そうなんですか?」と云いながら父に並んで深く土下座した。


多分母は状況を把握していないけど、ただ父にそうしろと云われたからそうしているだけ、という感じだった。


「…な、何…なんだってんだ」
「え…えっ…?」

兄と私だけがまだ狼狽えていた。


すると


「あれ?何か…僕の正体ってバレバレなのかなぁ」


と頭をかきながら母以上に呑気な声で呟いた先生の声が聞こえたのだった。

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緋色禁猟区 29話



家族のいる前でいきなり先生にキスされた。


「「なっ!!」」
「きゃあ♪」


「?!」


(お父さんとお兄ちゃんの驚き振りは解るけれど、お母さんの♪マークはなんだろう?)


「んっ!んー!」
「──ふっ」

強く押し付けられた唇はほんの数秒で離された。


「せ…せせせせせ先生っ!」
「真っ赤だな、梨香」
「!」


いきなりの行為に怒りたい気持ちでいっぱいだったのに、不覚にも暗闇のせいですっかり本性ヴァージョンになっていた先生にドキッとした。


そんな先生としばらく見つめ合っていると急にグイッと肩が後ろに引っ張られた。


「えっ!」
「おまえ、梨香から離れろ!」
「お、お兄ちゃ──」

どうやら兄が私を先生から引き離そうとしていたらしい。


「離れない」
「えっ!!」

先生は益々力を入れてギュッと膝の上の私を抱きしめた。


「触るんじゃねぇ!梨香は俺のだっ!」
「違う、俺のだ」

前と後ろで力の掛け合いをされて私の体は引き攣れる様な痛みを感じた。


「い、痛ぁい!」

思わず声に出して呻くと、兄がパッと手を離した。


其の弾みで私は先生の胸の中にグッと抱き込まれた。


「り、梨香…」
「俺の勝ちだな」
「おまえ馬鹿かっ!梨香が痛がってんだから離すのは当たり前だろう!」
「あぁ、そうだ。そもそもおまえが引っ張るから梨香が痛がったんだろう。だからおまえが離すのが道理だ」
「何を云ってやがる」


先生と兄の間のいがみ合いが果てしなく続きそうだと思った瞬間、バッと明かりがつき一瞬目が眩んだ。


「うっ、眩しい!」

私を抱きかかえながら先生は唸った。


「あなたぁーブレーカー上げて来たわよー」
「あぁ、ありがとう美紀子」

呑気な声色の母の言葉で、母が電気を点けたのだと解った。


「やぁ、明るくなりましたね」
「…」

先生は相変わらず私を膝に乗せているけれど、すっかり口調は昼間モードの柔らかいものになっていた。


「おまえ…一体何者なんだよ」

先生の変わり様を目の当たりにした兄が困惑の表情を浮かべながら私達に向かって呟いた。


「えーっと、すみません、ご紹介が遅れまして。僕もみなさんと同じ様に人間界で暮らしているヴァンポーリュ出身の吸血鬼です」


ヘラッと笑いながら緊張感の欠片もない口調で先生はサラッと自己紹介をしたのだった。

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緋色禁猟区 28話



いきなり部屋の電気が消えた。


「えっ?!な、何っ」

私は思わず声を上げてあからさまに狼狽たえた。


すると急にギュッと手を引かれて柔らかなところに座らされた。


「えっ…」
「怖がるな。大丈夫だ」
「!」

耳元で囁かれた声が先生のものだって直ぐに解った。


冷静になって周りを見渡すとぼんやり視界が晴れて来て、薄暗いなりにも状況が把握出来る様になった。

当然暗闇に慣れているお父さんは平然としているし、お母さんもお父さんの隣で怖がる振りをして愉しんでいるみたいだった。

そして私が今座っているのは先生の膝の上だと知って一気に恥かしさが込み上げて来た。


「! せ、せせせ先生──」
「ふふっ、教師としての挨拶はもう充分──といったところか?」
「え?」

私の言葉を遮り、先生は何処か遠くにいる人に向かって話しかける様な云い方をした。


すると

「おまえ、何者だ」

リビングのドアを開けて入って来たのは、小さなスタンドランプを手にした兄だった。


鋭い視線は其のまま先生に向けられていた。


「隗?おまえが電気を…ブレーカーを落としたのか?なんでこんな事を」

父が兄に向かって話し掛けた。


だけど兄は先生から視線を外さない。


そして其のまま父の質問に答えた。


「こいつの正体を知るためだよ」
「は?正体…って」

訳が解らないといった風の父を尻目に今度は私と先生に向かって続ける。


「おまえ、ただの教師じゃねぇよな。梨香の体に染み付いている匂いと同じ匂いがする」
「!」

私は一瞬にして硬直した。


「どういう事だ。隗、おまえ先刻から何を──」
「父さん。梨香はこの男にマーキングされている」
「なっ!」
「お、お兄ちゃん?!」

いきなりマーキングと云われて恥かしい気持ちと恐怖心が一緒に襲って来た。


「其れは…どういう事だ!」

父は今までの柔和な態度から一転、先生に対して凄まじい猜疑心を露にした。


私は先生の膝の上から立ち上がろうとしたけど、腹部に回された先生の腕がギュッと締まって身動き出来なかった。


「貴方は…梨香の担任じゃないのか?」

相手が何者が解らない状況で、父はどの様な言葉掛けをしたらいいのか戸惑っているみたいだった。


「あ、あのね、お父さん──実は」

其の状況を打破するために私が先生との事を話そうとした瞬間


「!」

急に顎に手が振れ、顔を先生の方に向けられた──と思ったら直ぐに唇に温かく柔らかな感触。


(キ、キキキキス──?!)


私は家族の前で先生とのキスシーンを曝け出してしまっていた。

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緋色禁猟区 27話



父が何か悩みを抱えている事が気になりつつも、私は先生が家族に挨拶に来る其の日を心待ちにしていた。


そしていよいよ先生が家に来る──という日の朝。


「──くさい」
「えっ」

夜の活動を終えて部屋に入ろうとしていた兄と廊下ですれ違った時に私はそんな事を云われた。


「梨香、おまえ、臭いぞ」
「なっ!な、なんて事云うの、お兄ちゃん!私、ちゃんと毎日お風呂に入っているよ!」
「馬鹿、そういう臭さじゃねぇ」
「…じゃ…じゃあどういう──」

私が話している間に兄はズイッと私の傍に近づいてくんっと首元に鼻を近づけた。


「おっ、お兄ちゃん?!」
「最初は気のせいかと思ったが…おまえ──男臭い」
「!」

兄の其の言葉に一気に冷や汗が噴出して来た。


「あ…あの…其の…」
「───」

妙に焦ってしまって傍から見たら絶対おかしいという私の仕草を兄は鋭い視線で凝視した。


「…きょ…今日…全部…話すから…」
「───」
「先生…先生が家に…来た時に…全部…」

なんとか其れだけを絞り出すように云って兄からの視線を避けるためにギュッと目を瞑った。


暫く続いた沈黙の後「ふんっ」と呟いただけで兄は部屋に入っていった。


「…」

静かに目を開けて兄の部屋のドアを見つめる。


(お兄ちゃんは何か気がついてるのかも知れない)


ふとそう思った。


連日の様に受けている先生からの濃厚なスキンシップが高じて私の体には先生の匂いが染み付いて来ているのかもしれない。


兄は昔から私に関する事には鋭かった。


其のちょっとした変化を敏感に感じ取っているのかも知れないと思った。


一時期はふたりで一生を共にしなければならないと思っていた相手だ。


私がどんなに拒んでもこの環境と状況からしたらいずれ私は兄と──


でも私は先生と出逢った。


人間界に住んでいた奇跡の様な同族。


其れによって私は救われた。

だけど

(じゃあお兄ちゃんはどうなるの──?)


唯一恋愛する事を赦されている私がいなくなったら兄は…?


私の気持ちを尊重して本当に厭がる事はしなかった兄。


私はこの時になってやっと己の幸せだけに浮かれている私は浅はかなんだと思い知らされたのだった。



ピンポーン


其の日の夕方、先生はにこやかに手土産を持参して家にやって来た。

「初めまして。梨香さんの担任をしています叶宗助と云います」
「まぁ、先生ようこそいらっしゃいました。さぁ、どうぞおあがりくださいな」
「はい、失礼します」

明るい室内では昼間同様、優しく温厚な先生だったために最初はとても和やかに話は進んで行った。


最初は私の学校での生活態度に関する話で盛り上がり、両親もすっかり家庭訪問ムードに浸っていた。


だけどそんな和やかな雰囲気はいきなりの停電で一変した──


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緋色禁猟区 26話



結局私は先生の求愛を受け入れた。


先生は吸血鬼としてはごく当たり前の考えから私の事を誤解していて──まぁ、かなり自分勝手に思い込んで私に対して酷い事をしたけれど、誤解が解けた今ではすっかり人が変わった様に私に優しく甘くなった。

「梨香ちゃん、今度の休みに自宅に行ってもいいかな」
「──は? い、家…ですか?」

昼間の先生は私の事を『梨香ちゃん』と呼び、学校内でも人目がなくなると直ぐにスキンシップを取ってくる甘い人になっていた。


今も放課後の人気のなくなった校舎の片隅にある狭い資料室でピッタリくっつかれていた。


「そう、ちゃんとご両親に挨拶したいなと思って」
「あ…挨拶…」
「勿論結婚を前提としたお付き合いを赦してもらう挨拶だよ──んっ」

チュッと音を立てながら私の首筋にキスをして来た。


「あっ…ん」
「あぁ…ダメだ、そんな甘い声出さないで。僕、堪らなくなるよ」
「…だ…だって」

矛盾した事を云っているなぁと思いつつも、なんとか先生から受ける愛撫に声を押し殺すようにして耐えた。


──実は


私達はまだ最後の一線を越えていなかった。


先生が結婚するまでは私の純血を守りたいと云ったからだ。

一見紳士らしい優しい提案の様だけれど、どうも先生は処女としての私をしばし満喫したいらしい雰囲気が言葉や態度の端々から窺えた。


「あぁ、梨香ちゃん…こんなに可愛くてセクシーな体つきなのにまだ男を知らないだなんて…ゾクゾクするよ」
「……」


ちょっと…


いや、かなり変態っぽい発言ばかりで私はしばし鳥肌を出現させてしまう事があった。

「僕の梨香ちゃん…僕だけの梨香ちゃんだ」
「先生…」

だけどこうやって所有物の様に想われるのは悪い気がしなかった。


私は好きな人に一途に想われたいとずっと思っていた。

だから多少其の愛情の示し方が変態的でも赦せてしまう程に私は先生の事が好きだったのだ。




「えっ、先生が?──季節はずれの家庭訪問かしら?」

其の日帰宅した私は母に先生が今度の休みに家に来る事を告げた。


すると呑気にそんな返しをした。


「ま…まぁ…そんな感じかな…でね、お父さんにも会いたいって云っているんだけど」
「私にもか?なんだ梨香、何か悪い事でもしたのか?」
「違うよ、してないよ!」
「まぁいいけど…でも昼間は都合が悪いから、仕事に行く前の宵の頃にしてもらわないと」
「其処ら辺は大丈夫。ちゃんとお父さんの事情も知ってるから」
「は?事情を知ってるって」
「あっ!コ、コンビニの店長だっていう事を知ってるって事で──」
「あぁ、そうか。なら其の様に」
「…うん」


両親には先生が吸血鬼だという事を云っていない。


先生が自分の口から云いたいと云っていたから。


「其れよりあなた、お体大丈夫?最近なんだか益々お疲れよ?」
「あぁ、心配要らないよ。ちょっと厄介な仕事があるだけで」

「…」


父は数週間前から外出する機会が多くなって忙しそうに動いていた。


全てはヴァンポーリュからの手紙が来てから──あの時から父の様子が少しずつおかしくなった。


(お父さん、大丈夫かな…)


気になる事や心配する事、不安な事はあったけれど、とりあえず今は先生の事を両親に認めてもらう事が私の中では最優先事項になっていた。


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