夕暮れから漆黒の夜になる境──


カーテンの隙間から覗く橙色の光は、やがて月の光で淡い明るさをもたらす。


「あ…あっ…んっ」
「はぁ、はぁ…うっ──」

私は今、破瓜の痛みに耐えていた。

一度は好きな人に捧げられないかも知れないと危惧した事もあったけれど、今、この瞬間を迎えられた事は、痛みによる恐怖心なんかを遥かに超えて、嬉しいとさえ思える痛みだった。


「ふぁ、あっ!あぁぁっ」
「くっ──あ…」

ズズッと私の奥深くまで利久くんのモノが収まったのが解った。

「あ…あっ…」
「…羽衣…全部、挿入ったよ」
「うん…うん…」
「…羽衣」
「私…幸せ…すごく、幸せ」
「羽衣…」

ボロボロと泣いているのは痛いからじゃない。


何故か魂が物凄く揺さぶられて…


私の意識とは違う感情が涙を流させている様だった。



「あ、あぁぁん、あんあん」
「あ…羽衣…気持ちいいよ…んっあっ」

激しく振られる利久くんの腰の動きに合わせる様に、私の腰も自然と動いた。

初めての快楽。

これがこんなにも気持ちのいいものだなんて知らなかった。

「利久くん…利久…く…」
「羽衣…羽衣──」

快楽のまま身を任せていたら、其の大きな波はあっという間に私を呑み込んで行ったのだった。




「羽衣、痛くない?」
「うん…大丈夫」

初めての行為は幸せな内に終わってしまった。

だけど私たちは放れ難くて何度も何度も愛し合った。

其の結果、情けない事に私の足腰はガクガクと震え、まともに起き上がる事も出来なかった。

「ねぇ、キッチン借りてもいい?」
「え、うん、勿論」

利久くんは平然と起き上がって私の部屋を出て行った。

(はぁ…やっぱり男の子って体力があるんだなぁ)

利久くんは剣道で鍛えているという事もあって、体力がある事は勿論、其の肉体、肢体は美しいものだった。

(あの腕に抱かれていただなんて…信じられない)

先刻までの行為を彷彿とさせて、私の胸はドキドキ高鳴る。

そして治まっていたはずの秘所の疼きが再開されたのを感じた。

(私、厭らしいなぁ~~)


「どうしたの?顏、赤いよ」
「えっ!」

いつの間にか部屋に戻って来ていた利久くんに驚いた。

「な、なんでもないよ!…其れより何持っているの?」
「はい、どうぞ」

利久くんが渡してくれたマグカップにはホットミルクが入っていた。

「わぁ、ありがとう!」
「のど、乾いていると思ったから。冷蔵庫の中の牛乳使って…即席なんだけど」
「うん、乾いていた。ありがとう、利久くん」

大好きなホットミルク。

(どうして私がこれを好きだって知っていたんだろう?)

「よかった、なんとなく羽衣はホットミルクが好きなんじゃないかなと思っていた」
「…」

其れは何気ない呟きだったけれど、私はそんな曖昧な答えで充分幸せを感じたのだった。


kaben
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