僕が8歳の誕生日を迎えた其の日、父上は意気揚々とこう云った。


「フーガ、おまえにとっておきのバースディプレゼントをあげよう」

其の父上のひと言から僕の有り得ないほどの恐怖の日々が始まった。

父上に貰った誕生日プレゼントというのが俗にいうハーレムだった。

ハーレムがどの様な目的で存在しているのかを知っていた僕は一気に恐ろしくなった。

僕はヴァンパイアとしては奥手な方で、そういう事に関しての興味は全くなかった。

だからいざ現実的にハーレムを与えられても戸惑うばかりだったのだ。

「アスファ、8歳になったばかりのフーガにハーレムを与えるってどういう事ですか?」

父上のプレゼントに対して当然母上は異議を申し出た。

母上はどんな時でも僕の味方だったから『母上がなんとかしてくれる』と思い込んで其の成り行きを見届けていた。


「まぁまぁ落ち着け、リカ。フーガはいずれこのヴァンポーリュを統べるべく俺の息子だ」
「其れは解っています。でもだからといって何故まだ子どものフーガにハーレムなんてものを」
「俺としては全く気にしちゃいない事なんだが…大臣連中の中には古臭い考えを持つ狸どもが未だにいてな」
「! ──まさか…」

一瞬にして母上の顔色が変わったのを見て僕は一気に不安になった。

「リカ、気にしなくていい。ほんの一握りのじじぃ共の戯言だ」
「…私がハーフだからなのね」
「…」
「私が完全なヴァンパイア族じゃないから…そんな母親から産まれたフーガを完全には王位継承権を持つ者として認められないって云っているのね」
「──まぁ、大まかに云うとな」
「…」


これで雲行きは変わってしまった。


「フーガ」
「な、何…父上」

黙り込んでしまった母上の代わりに父上が僕と目線を合わせて話し掛けた。


「おまえには間違いなく俺の、ヴァンポーリュ王の尊い血が流れている。だから自身の産まれを決して卑下するな」
「…うん」
「ただ、血だけでは補えない精気だけはおまえ自身が得なければならない」
「…せいき?」
「そうだ。ひとりでも多くの処女と交わるのだ」
「えっ!」
「交わり始める年齢は若ければ若いほどいい。交わる処女の数も多ければ多いほどいい」
「な…なななな…」
「処女の持つ精気はおまえを俺以上の力を持つヴァンパイアへと覚醒させてくれるだろう。其のための、おまえ専用のハーレムだ。勿論ハーレムの女は全て処女だ」
「あ…あ…」
「おまえが好きにしていい女ばかりだ。女の方もおまえに破瓜されるのを望んで集まった女ばかりなのだから遠慮するんじゃないぞ」
「~~~」


まるで悪夢だった。

だけど母上の事を思ったら父上の云いつけをキッパリと断る事が出来なかった。

次期国王として産まれてしまった自分の宿命ともいえる務め。


(僕は力を得るために処女と交わらなくてはならないんだ)

其れは頭では解っている事なのけれど…


(どうしたって厭なものは厭なんだ!)


其れ以来四年間、僕はハーレムから逃げ回っている日々を送っていたのだった。

halem
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