私が叶先生を好きになったきっかけはこの高校に入学した其の日の出来事からだった。



「う…うぅ……」

私は体育館から薄っすら聞える入学式の式典の様子を裏庭で聞いていた。

私は半分でも吸血鬼なので本当なら人間の血を吸わないと生きていけない体だった。

でも色々調べた結果、私の場合は大体一週間に一度、人間の血を少しだけ吸えば其れで充分生きていけるという事が解っていた。

だから私は毎週母から少しだけ血をもらっていた。

あとは少しの人間の食べ物と不足しがちな鉄分を補給すれば大丈夫という事だった。

しかし本当なら今朝、母から血をもらわなくてはいけなかったのを私は入学式の準備ですっかり忘れてしまっていたのだ。

普段ならなんともない体も、血が不足した飢餓状態の体では人間が多く集まる場所はキツかった。

何故なら──多分吸血鬼としての本能が勝って、見境なしに人間を襲ってしまう危険性があったからだ。

だから私はこっそり裏庭に非難してひとり時間が過ぎるのを待っていた。



(なんで…今日…よりにもよってこんな日に)

徐々に意識が薄れ掛けていく最中ふと私の視界が暗くなった。


「…?」

「──どうしたの?」

「…あ」

其処にいたのは背の高い男の人だった。

前髪が凄く長くて眼鏡を掛けていたからよく顔が見えなかったけれど、心配そうな表情をしているのだろうなと雰囲気で解った。

「君…新入生?体調、悪いの?」
「…あ…はい…ちょっと…貧血ぎ──」


ドクンッ

話の途中で私の体は酷く熱く、そして痛んだ。


「──うっ」
「えっ、大丈夫?!今保健室連れてってあげるから」
「えっ」

あっという間に私は其の人にお姫様抱っこされてしまった。


「!」


其の瞬間、見えてしまった。

抱かれている時に下から見えた其の人の表情を。



──其れはとても美しかった



(な、ななななな何、この…ありえない程の美形っ!)

顔もそうだったけれど、移動中其の人から香る匂いに私は例えようもない位に甘い気分になった。


(何…この人…すごく…いい匂い…)

胸がドキドキして堪らなかった。


こんな気持ちになったのは生まれて初めてだった──


やがて自宅に連絡して迎えに来てくれた母から血を分けて貰って其の時はなんとかなった。

だけど其れ以来私は叶先生を見ると胸が高鳴り、とてつもなく甘い気持ちになってしまうのだった。 

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