4時限目の数学の小テストは散々だった。

(自慢じゃないけど数学なんて学問、全くもって関心がない!)


…ないん…だけど──


「今回の小テストで30点以下だった人は放課後補習するから居残ってねー」

「「「「えぇー!!」」」」


(嘘っ!さ、30点以下って…)

丁度30点の場合はどちらに入るのだろう、と思って叶先生の顔を見ているとバチッと視線が合ってしまった。

すると

「勿論30点だった人も居残りだよ」

「!」


(バレバレだ……)



「あらら…梨香ってば居残りなの?」
「あ…ののちゃん」

放課後、ののちゃんと一緒に出かける約束をしていたのにダメになってしまった。


「本当にごめんね…」
「いいよ、また今度一緒に行こうね」
「うん…ありがとう」
「じゃあ補習、頑張ってね」
「…はぁい」

昇降口までののちゃんを見送り、早急に教室に帰ろうと踵を返した瞬間──


「篠宮さん」
「!」

いきなり目の前に覚えのある男子が立っていた。


「あ…」

其れは数日前に私にラブレターを渡して来た人だった。


「あの…話…あるんだけど」
「あ…はい…」
「今、時間いい?」
「今はちょっと…」
「なんで?もう帰るだけでしょ」
「えっと…其の…」


なんだか【補習】という言葉が恥かしくて咄嗟に出ない。

自分でも赤くなっているのが解ってしまってついモジモジしてしまう。


どうしたものかと考えていると──


「こら、まだこんな処で油売ってんのかー」
「あっ、叶先生」

其処に運よく──かどうかよく解らない微妙なタイミングで叶先生が現れた。


「ホラ、サッサと教室に行くよ!」
「は、はい!──あの…そういう事で…すみません」

私は叶先生の後につきながら短く其の男子に断って場を離れた。



──教室までの道のり


「…はぁ」

思わずため息が出てしまった。


「先刻の6組の三宅だね」
「あ…はい」
「なんだ、君達付き合っていたの?」
「えっ?!」


(な、なん、なんでそんな誤解を!)


「ち、違います!三宅くんとはなんでもないです!先日三宅くんから手紙をもらって其の返事を催促されていただけで、決して付き合ってなどは──」
「……」
「…あ」

思わず怪しいほどに口早に捲くし立ててしまった。


「──そう、勘違い発言ごめんね」
「い、いえ…」

すまなそうにニッコリ笑われて、其れは其れでなんだかちょっとショックな気がした。


(私が好きなのは先生…なのになぁ…)


そう思うと胸の奥がキュッと痛くなった。


そして私は背の高い先生の後ろ姿を見つめながら懐かしい記憶を引き出していた。

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