と同時に

「!」

其の光がぼんやりと人の形になって俺の頭の中に直接語り出したのだ。


『このメッセージを受信出来る人間は…我らが姫様と接触のあった…人間と…認識する』

「…何」

『姫様…を…どうか…慈しんでくださる様…お願いする』

「…」

『我がセフリド…国は…滅びの道を行きます…どうか姫様おひとりでも…異星で生き…セフリドの…血を絶やさぬ様に…どうか…』

「滅びって…最初から決まっていたって事?」

『姫様は…どの星でも…生き抜いていかれる力をお持ち…セフリドの…記憶も…徐々に失くし…其の星に馴染まれる』

「会話、出来ないんだ。一方的なメッセージなのか」

『どうか…どうか…愛しの我が…ファーラ姫…ご息災であれ───』

「!」

ピィィィィ───とけたたましい音と共に光と、そして形を成さなくなったロケットはパァンと消えて無くなってしまった。


「…」

(一体何がどうしたっていうんだ)

あまりにも突然の出来事で流石の俺も戸惑ってしまうのだった。




ぼんやりとした気持ちで俺は車を走らせる。

姫様の待っている家に向かっている間、様々な憶測が頭の中でまとめられる。

(つまり…姫様は片道切符のロケットに乗せられ、滅亡する星から脱出させられたって事か)

最初から民を、国を薬で救う事など不可能な事だった。

よく考えれば解る事だ。

どれだけ文明が発達した国、星が高性能なロケットを作っても他の星へ短期間で行き来出来る訳がない。

(多分姫様は長い年月…ロケットに乗っていたんだろう)

恐らくは俺が産まれるよりも…いや、もしかしたらこの地球という星に人類が発生するよりも以前の話かもしれない。

其れはあくまでも想像でしかないけれど…

(本当に姫様は何も知らなかったのだろうか?)

多分先ほど俺に語り掛けて来た光の人物が全てを画策して姫様ひとりを逃がしたのだろう。

『愛しの我が姫』と云っていた。

(姫様を愛していたんだろうな…)

どんな想いで姫様を送ったのかを考えると、俺でも胸が痛くなるのだった──







「キリ、おかえり」
「…」

相変わらず帰宅の挨拶をしてくれる姫様に胸が高鳴る。

(あぁ…これはもう、確実だ)

俺はずっと感じて来た感情の名前を知ってしまった。

(俺は姫様の事が好きなんだ)

男女問わず俺が興味を抱いた人間など今までひとりとしていなかった。

自分は一生人を好きになるとか、愛するとか、一緒に居たいと想える様な相手には恵まれないのだと思って来た。

だけど

「キリ、今日はテレビで芸人なる者の芸を見たのだが、何が可笑しいのかさっぱりでな」
「其れは人其々だから。面白くない芸人だっているんだよ」
「そうか!わたしがおかしいという訳ではないのだな!」
「うん、そう── …え」

一瞬違和感を感じた。

ほんの一瞬で其の違和感は消えたけれど、これから其の違和感は徐々に多く感じる事となり俺を驚かす事になるのだった。

5794a8ad
◆ランキングサイトに参加しています。
其々クリックしていただけると更新の励みになります。

恋愛ランキング
にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村