机の引き出しから数粒の錠剤を取り出した。

其れは単なるビタミン剤だった。


「──はい、これ。抗生物質」
「! こ、こレが…」

目をキラキラと輝かせ、俺から錠剤を受け取る細い指が震えていた。

「…だけどね、これはひとり1錠飲んだからといってどうにかなるものじゃないんだよ」
「え」

意地悪くうんちくを問い始めた俺の顔を見た姫様は途端に表情を曇らせた。

「セフリド国がどれくらいの人口なのか知らないけれど、其の人口分の薬を用意しようと思ったら…俺はとても苦労する事になるんだ」
「ソ、其れは…そうなノかも知れないが…其処ヲ何とかシテもらいたいとわらわハ強く望ム」
「姫様のために俺も頑張りたいと思うけど…結構時間かかりそうだし命がけだし…其れ相応の報酬、欲しいんだけどな」
「其れハ勿論!何ヲ求めるのだ、わらわが国から持って来タ──」
「姫様」
「エっ」

捲し立てる姫様の腕を取って俺は耳元で囁いた。

「薬を調達する間、俺が望んだ時にセックスしてよ」
「…セ…セックス…とハ」
「ふっ、今までやっていた事だよ」
「! あッ」

まだ熱く潤っている姫様の秘部にグッと指を挿入れた。

「俺は何もいらない──姫様の…この体が抱ければ其れが俺にとっては最大の報酬だ」
「あ…あっア…」

クチュクチュと弄ばれるままになっている姫様は羞恥に耐えながらも、俺の腕に絡める様にしがみついて来たのだった。


姫様を初めて見つけた時は思わず【かぐや姫】かと思ったけれど…

(これはひょっとして…あれか?)

【天女の羽衣】の方かとも思えて来た。

天女が取られた羽衣を返してもらうために羽衣を奪った男の云いなりになる──

姫様は薬を得るために俺の云いなりになる。

云う事をきく姫様には薬を与えなければならない。


──だけど其の薬をある程度渡し終えた頃には姫様は自分の星に帰ってしまうのだろうか?


(そういえば…天女の羽衣ってどういう終わり方だっけ?)

なんとなくそんな事を考えてしまった俺だった。









「おーい、霧ぃー!」
「…」

不躾に声を掛けられ其方を見ると、其れはいつもの女連中だった。

「ねぇ霧、今日コンパあるんだけどぉ、来るよね?」
「南大のサークルと共同でやるんだけど」
「霧くんが来ないと盛り上がらない~」
「…」

同じサークルの名前だけ部員の姦しい輩だ。

「ごめんね、今日は用事があるんだ」
「え、用事って?まさかデート?!」
「違うよ、教授の学会用の資料作りを約束させられているんだ」
「えぇー、いつも教授の手伝いって云ってるけど、ほとんど霧にやらせてるって噂があるじゃん。其れ本当なの?」
「噂だよ、俺はほんのちょっと情報収集の手伝いをしているだけ」
「もぉぉーなんか教授連中って霧くんの事頼り過ぎじゃない?頭きちゃう!」
「大学って勉強する処じゃない?其の延長線上だと思ったらすごく有意義な手伝いだよ」
「「「もぉ真面目なんだからぁー!」」」

(…あぁ、本当に煩い)

勿論資料作りの手伝いなんて嘘だ。

やいのやいの云われながらも其の場を抜け出した俺は足早に家に帰宅したのだった。

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