シャナンと名乗った妖精は執拗に僕に絡みついていた。


「んんっ、あ、あぁぁっ」
「フぁ…あァン、もット、モっト奥ニ注ぎ込んデェェ」


ほんの数時間前までは初心(ウブ)で性的な事なんて全く知らなかった僕だったけれど、シャナンとの子作りという行為は僕を確実に変えて行った。


「はぁはぁ…ん──」
「やッパり…若イ子っテ体力があルんダネ。イっテモ直グに復活スるヨ」
「…」

いや…

(いくら若いからって限界がない訳じゃなくて…)

現にもう僕のモノからは何も出てこない状況になっていた。


「あ、あの…もう…ちょっと休憩しない?」
「えェーなンデェ?!」
「だ、だってもう…君の求めるものは何も出て来なくて…」
「イイよォ」
「え」

シャナンがチュッと僕にキスした。

「アタシ、精子が欲しイだケジゃナクて…キミとこウイう事スるノ、好キ」
「~~~」

目的がちょっと変わって来ていないか?とも思ったけれど…

其れは僕も同じで…

「…ぼ、僕も」
「ン?」

先刻から沸々と感じていた事を思い切って云ってみる。

「僕も…君と…こういう事するのが…好き、かも」
「…」
「こ、心が…君に…か、傾いている、気がする」
「…」
「──はっ!」

(これじゃまるで告白じゃないか!)

と云ってから気が付いた僕。

(僕はなんて事を──!)

ほんの数時間前に出逢ったばかりの女の子に!

しかも相手は妖精の女の子なのに!

種族からして違うのに僕はなんて事を…

(シャナンは僕の精子だけが欲しいのに…)

子どもを作るのに必要だから…

ただ其れだけで僕とこういう事を──


「…ご、ごめん」

おかしな事を云ってシャナンを呆けさせちゃったなと気持ちが沈んだ──けれど

「アタシもキミが好キだヨ!」
「えっ!」

ギュッとシャナンに抱きつかれてドキッとした。


「アタシ…人間ノ男ノ子はたダノ子ドもヲ作るタメの道具だッテ思ッてイタ」
「!」
「ダッテそウイう風ニ教えラレテ来タかラ。必要なノハ綺麗ナ精子だケ。其れヲ貰ッテ受精シたラもウ必要ナイ。人間ハ元ノ世界に帰シテ…其れッキリ。モぅ一生関わル事ナンてナイんだッテ」
「…え」
「だケド…だけドネ、アタシ、変ナんダ。キミの事…そンナ風ニ思えナクて…受精シてカラだッテズっト傍にいテ欲シいッテ思ッてル」
「…シャナン」

ジッと見つめられ僕の胸は張り裂けそうに高鳴っていた。

「キミが好キで好キデ…こンナ気持チ初メてダヨ」
「シャナン!」

シャナンの其の言葉を訊いた瞬間、もう何も考えられなかった。

僕が今どういういう状況で、どんな目に遭っていて、これからどうなって行くかなんて…

何も考えられなくて…

ただ今は、がむしゃらにシャナンを求める事だけしか考えられなかった。


「ダケど…キミの事、大好キだケド…やっパリ一緒にハいラれナイ」

(え…)

「種族、環境、時間──全テノもノガ違いスぎルヨ」

(なに?)

「だカラね、やッパりキミは、ちゃンとキミの世界ニ戻らナクちゃダメなンダ」

(シャナン──?!)











──最後に思い浮かべたのは誰の名前だったか?








『今月7日の学校行事から行方不明になっていた中学1年生の男子生徒は一週間後、不明となった山中から無事に保護されました。男子生徒に目立った外傷はなく、健康状態も良好との事です。警察による会見では少年は不明時から発見時までの記憶が曖昧で、何処で何をしていたかの詳しい話は未だに訊き取れない状況だという事です』


病室のテレビから流れる声は多分僕の事を云っているのだろうとぼんやり聞いていた。


(……)

あれは一体なんだったのだろう。


何かとてつもない経験をしたような気がするのだけど…


何があったのか僕は全く思い出せなかった。


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