結婚式当日に発覚した妊娠騒動のお蔭で式は急遽キャンセルになってしまった。 


(妊娠していただなんて…そんなの全然気が付かなかった!)

確かに生理が止まったなとは思っていた。

だけど私は昔から緊張した日々が続くとストレスから割とよく生理が止まったり不順になったりする事があったから今回もそうだと思い込んでいた。

(というか本当妊娠だとは全く思わなかったのですよ!)

だって夜宵さんとセックスする時はいつも避妊無しでいつ妊娠しても不思議じゃない状況の中、大抵ちゃんと生理は来ていて、だからそう簡単に妊娠ってしないんだなと思っていた。

結婚式の準備を始めた途端に生理が止まれば其れはストレスや緊張からが原因で──と考えてしまうのは仕方がない事じゃないでしょうか!


「あぁ、解った解った」
「~~~っ」
「朝恵の弁解ちゃんと訊いたから少し落ち着いて安静にしていろ」
「夜宵さぁん~ごめんなさい~~」

リビングのソファに座っている私の隣に腰を下ろした夜宵さんにしがみついて詫びた。

「謝らなくていい。というか寧ろ俺は嬉しい気持ちでいっぱいなんだからな」
「…結婚式、中止になっちゃったのに?」
「初めから俺はヤル気そんなになかったし。全然構わない」
「…」


中止になった結婚式の日から一週間。

世間では大晦日を迎えていた。

私たちは入籍だけを済ませ夜宵さんの家で新婚生活を始めていた。

今回の妊娠発覚により私は勤めていた会社を正月休みを機に退職して専業主婦になった。

突然の退職は主に黒川さんが便宜を図り、引継ぎなどの問題は特になかったのだけれど…


「沢山の人に迷惑をかけちゃいました…」
「みんな気にしてないって云っていた。ただ朝恵の体の心配をしながらも妊娠を喜んでくれたじゃないか」
「…こうなると式に呼んでいたのが親しいごく少人数でよかったって思いますね」
「そうだな」

列席者は私の方が両親と弟、仲のいい友人ふたりだけを呼んでいて、夜宵さんは厭々呼んだ高岡さんと黒川さんのふたりだけだった。

だからこそとんだ迷惑をかけて中止になった式でもみんな厭な顔ひとつせずただお祝いの言葉を惜しみなくくれたのだった。

「そういえば私、まだ高岡さんと黒川さんにお礼を云っていません」
「そんなの云わなくていい──と云いたい処だが…今回の件に関しては感謝する処が大きいな」
「そうですよ、ふたりが挨拶に来てくれなかったら私も赤ちゃんもどうなっていたか…」
「…」

私を診てくれた父から危うく切迫流産になる処だったととても怒られた。

早々に妊娠に気が付き、もっと体を労わらなければ駄目だろうと散々お説教を喰らった。


「其の内此処に呼んでお礼がてらご飯をご馳走したいです」
「はぁ?なんで此処にあいつらなんかを」
「だって私当分外出禁止ですし、赤ちゃんの命の恩人として早めにお礼したいという気持ちが強いですし」
「…」
「いいですよね?夜宵さん」
「……はぁ…朝恵には敵わないな」

夜宵さんは深いため息をつきながらもふたりを招待する事を渋々承諾してくれた。

「ふふっ、よかった」
「…まぁ、今の俺は機嫌がいいしな。特別の計らいだ」
「あっ」

そう云いながら夜宵さんは私を横抱きにして仰向けになったお腹にそっと優しく掌を押し付けた。

「…何も感じないな」
「まだ全然ですよ。だってまだ二ヶ月ですよ」
「そっか…でも本当にいるんだよな、此処に」
「はい…いますよ。私と夜宵さんの子が」
「…」

夜宵さんは私の言葉に何ともいえないふにゃっとした表情を浮かべとても幸せそうに何度も私のお腹を擦った。

「夜宵さん…」
「俺、幸せだ…凄く、滅茶苦茶幸せ」
「…」
「こんなにも早く子どもが出来るとは思わなかったから…幸せ過ぎて発狂しそう」
「しないでくださいね。私も我慢していますから」
「朝恵…」

夜宵さんは上体を少し屈め、横抱きしている私の唇にそっとキスをしてくれた。

チュッと軽いリップ音が静かな室内に響く。

「…ヤバい」
「え」
「こんなキスだけじゃ済まない」
「…」
「したい──けど…当分お預けだったか」

母体が安定するまでセックスは控える様にと父から云われていた事を夜宵さんは律儀に護っていた。

あんなに好色な夜宵さんが自分の欲望よりも私やお腹の赤ちゃんの事を第一に考えてくれる気持ちがとても嬉しかった。

だからつい

「…夜宵さん」
「ん?」
「頑張っている夜宵さんにご褒美…あげましょうか」
「は?」

いつも私を愛してくれる夜宵さんに感謝の気持ちや愛おしい気持ち、そしてもっと幸せな気持ちになってもらいたいという想いから自然と言葉が出ていた。

「口で…してあげますよ」
「!」
「あまり慣れていないから…下手かも知れませんけど」
「…」
「其れでもよかったら」
「……ははっ、ようやく調教の成果が出た」
「!」

そう云うと徐に取り出したモノを私の手に握らせた。

「や…夜宵さんっ」
「口でしてくれるの嬉しいけど無理しなくていい──手で…」
「…」

悪阻がある私に気を使って云ってくれる言葉がまた私を幸せな気分にさせてくれる。

ゆっくり動かす手に反応して柔らかだったソレは徐々に硬さを増して行った。

「んっ」
「…」

時折漏れる夜宵さんの艶っぽい喘ぎ声が私の中を潤して行く。

(やだ…こんなの私だって我慢が…っ)

「朝恵も気持ちよくなれ」
「!」

私の気持ちを悟った夜宵さんが器用に私の熱く潤んだ中に指を滑らせた。

「優しく愛でてやるから」
「~~~っ」


私も大概厭らしいものになったなと羞恥心を抱きながらも、与えられる優しい快感に逆らう事は出来なかったのだった。

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